研究紹介_2023_日本語版(工学部)
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野尻湖における水質変動の解析下水流入水の日変動・時間変動解析長野県内の湧水が持つ水質特性の把握水処理用膜ろ過プロセスにおける溶存有機物の特性・動態調mn( hgneevawnomn( hgneevawnoititticxE)lt a)lt aticxE⽔環境69限りある水資源を有効に利用するためには、水質悪化をさせないための水処理技術(下水)と、汚染された水を利用可能にする水処理技術(上水)が、必要不可欠です。一方、水道水の水源や下水の放流先となるのは湖沼や貯水池、河川(水環境)です。つまり水環境の適切な保全・管理も、私たちの生活を豊かにする上で必要不可欠なものと言えます。小松研究室では、上水―水環境-下水という一連の流れを常に意識し、水環境保全と水処理による恩恵が相乗的な効果を発揮できる仕組み作りに取り組んで参ります。など卒業研究を通じた一連の作業(計画立案、調査・実験の遂行、解析、卒論執筆)は大変なエネルギーを必要とします。しかし、一からコツコツと積み上げて仕事を成し遂げる経験と達成感は、必ず皆さんの財産となるはずです。EEM(Excitation Emission Matrix)法で検出される下水特有のピーク(Peak X)は下水関連試料でしか検出されない特徴的なもので、その由来成分は不明でした。様々なアプローチからの研究により、このピークの正体を世界で初めて突き止めました。またその事実を裏付けるようなデータも蓄積しています。図:様々な試料のEEM600下水処理場流入水550500450Humic-like peak400Protein-like 350peak300250250300350400450500550600Emission wavelength (nm)<参考文献>・小松一弘(2020) 三次元励起蛍光スペクトル法で検出される下水特有ピークの由来とその有用性, 環境浄化技術, 19 (6), 25-30・Komatsu K., Onodera T., KohzuA., SyutsuboK., Imai A. (2020) Characterization of dissolved organic matter in wastewater during aerobic, anaerobic, and anoxic treatment processes by molecular size and fluorescence analyses. Water Research, 171, 115459.し尿処理場流入水Humic-like peakpeakEmission wavelength (nm)2004年東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修了。国立環境研究所勤務を経て、2021年より現職。諏訪湖とその流域における水質面での連動性評価下水に特異的に含まれる蛍光物質の光分解特性評価小規模循環型水循環システムの構築河川における下水の検出・追跡センサー開発を目的とした下水由来蛍光物質の特性評価(河川財団、代表)微細藻類の大量培養技術の確立による持続可能な熱帯水産資源生産システムの構築(SATREPS、サブテーマ代表)DOMの光分解特性が生物難分解化に及ぼす影響評価(科研費若手、代表)査(民間企業との共同研究)教授小松一弘水環境の保全は、人々の生活を豊かにするだけでなく、来るべき未来に備える上で必須のものです。今後、進行が予想される気候変動は、国内外を問わず様々な形で水環境に影響を与えるためです。当研究室では「オンリーワン」の知見習得や技術開発を推進し、将来的にそうした問題に対応できるような社会形成を目指します。【私の学問へのきっかけ】子供の頃から鉄道に興味があり(所謂テッチャンです)、時刻表を見ながら旅行気分に浸るのが好きでした。今は廃線跡などの写真を見ながら在りし日の路線に想いを馳せたりしています。好きなことをトコトンまで調べ想像力を膨らませると言う作業を、無意識のうちに子供の頃から繰り返してきましたが、それが学問を追求する姿勢と類似していたのかと思います。湖沼における水質調査の様子湖沼調査では採水及び現場観測を行う諏訪湖流域におけるUV254と鉄濃度の関係諏訪湖流域における水質の連動性について評価600550Peak X500450400350Protein-like 300250250300350400450500550600研究キーワード研究から広がる未来研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績⽔循環・⽔環境保全・⽔処理技術・⽔質モニタリング・溶存有機物・蛍光分析卒業後の未来像最近の研究トピックス・⼟⽊⼯学科⽔環境保全と⽔処理が切り拓く未来

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