研究紹介_2023_日本語版(工学部)
30/150

値測予計算科学を利用した液相結晶成長における成長素過程の調査バイオ用途での事業化を想定した高性能タンパク質吸着剤の影響因子分類に基づく高温溶融塩中での六方晶窒化ホウ素の物質化学科28データ科学は、ビッグデータを解析して未来を予測できるため、社会に変革をもたらす可能性を大いに秘めています。データ科学を化学実験に導入できれば、既存の経験・勘に頼った研究方式から脱却して、新材料・高性能材料を短期間で開発できると期待できます。当研究室では、環境・エネルギー材料に利用可能な無機材料をターゲットとして、データ科学による高性能結晶材料の開発を進めています。実験データ大量収集、データ活用、機械学習解析といった各種課題に対処することで、結晶材料開発に特化した未来予測・実証システムの構築を目指しています。一般的な無機化合物の合成・機能評価方法を習得したうえで、データ科学を応用できる材料科学者を養成します。我が国でもデータ科学の導入が急速に進みつつあります。当該技術をいち早く取り入れることで、ビッグデータ新時代の科学者・技術者としての活躍が期待できます。無機結晶材料の自在結晶外形制御に向けたプロセスインフォマティクスシステムの構築メカニズム考察実験結果予測仮想実験番号データ科学を利用して結晶成長のプロセスを予測・提案・解析するシステム(高速データ収集・実験結果の数値化・機械学習アルゴリズム・メカニズム考察)の開発に取り組む。以下に成果一例を示す。•実験結果をシミュレートしながら効率的に結晶成長を最適化•1000を超える実験データを利用して、結晶成長に影響を与える共通因子を特定液相結晶育成実験結果の数値化学習データ入力【私の学問へのきっかけ】教員を目指し、もともと興味を持っていた化学系への大学進学を決めました。しかし、学問に関する意欲は決して高い方ではなかったと思います。転機は、学部4年生の研究室配属です。はじめて担当した研究テーマに、教科書にはない自由を感じました。自分のペースで進められるスタイルも魅力的でした。以後は、研究・教育の両方が私の関心事となり、「研究に携われる教員」を目指してキャリアを進めていきました。今はこのどちらにも携わることができ、とても良い環境の中で働かせてもらっています。北海道大学大学院理学研究科にて博士(理学)を取得。名古屋大学物質科学国際研究センター、信州大学環境・エネルギー材料科学研究所、同大学先鋭材料研究所を経て、2020年より現職。現在の主な研究分野は無機材料化学、結晶成長、データ科学。結晶材料の作製予測・提案を可能とするプロセスインフォマティクスの開発(酸化物・窒化物・酸窒化物等、データ科学)データ駆動による結晶外形自在制御(無機材料全般)機械学習を利用したプロセス因子の探索と成長機構理解(無機材料全般)高性能な可視光応答性光触媒の結晶材料開発(酸窒化物、水分解)と成長因子の数値情報取得選択性・容量の定量的性能評価(信州大学POCファンド)材料科学の社会実装パラダイムを転換する水処理結晶等材料量産化条件導出AI構築に向けた基礎的調査(COI プログラムCOI若手連携研究ファンドデジタル分野・FS)超高出力化に向けた光電荷分離によるコバルト酸リチウムの電気化学反応速度に及ぼす影響評価(池谷科学技術振興財団単年度研究助成)プロセスインフォマティクスによるフラックス法結晶材料育成条件導出法および実装システムの構築(COI プログラムCOI若手連携研究ファンド)結晶外形変化の機構解明(科研費基盤研究(C))助教山田哲也持続可能な社会を作るためには、高性能な環境・エネルギー材料の開発は必須ですが、製品化までの期間が長くかかる問題があります。材料開発を高精度で予測・実証できるようになれば、今必要なものを瞬時に作り出し、必要な人皆に等しく供給することができるようになるかもしれません。これまで得られた無機結晶材料。液相結晶育成法を利用することで、面発達した高品質結晶ができているデータ科学で実際に利用している実験結果のグラフ(左上図)と画像データ(右上図)。これらを数値化して未来予測をする(下図)高速データ収集因子の寄与率X5X1X4X2実験(X)評価(Y)X3予測・条件提案関数モデル作成機械学習アルゴリズム研究キーワード研究から広がる未来研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績環境・エネルギー材料・液相結晶成⻑・プロセスインフォマティクス卒業後の未来像最近の研究トピックス未来予測・実証システムを構築して環境・エネルギー材料に繋げる

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る