研究紹介_2023_日本語版(工学部)
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有機系燃料を直接燃料とした新規燃料電池の開発光触媒表面に固定化されたリン酸系官能基を介するマストラ光触媒的・光電気化学的水素生成を志向した可視~近赤外応答型銅カルコゲナイド粉末光触媒のバルク・表面での電子構造制御・表面反応場設計(2020-2021年:公益信託ENEOS水素基金)セルロースの電気化学的酸化分解反応の精密解析及びエネル非水系溶媒中における光電気化学反応精密解析と高開放端電固溶体光触媒粉末の組成・構造制御による近赤外応答型光カ物質化学科25↑ ホスホン基を有するシランカップリング剤を介したプロトン供給の促進、それによる光触媒的水素生成活性の向上。光触媒材料の“外側=溶液内”での物理化学現象を制御する新たなアプローチ。(Angew. Chem. Int. Ed., 2021, 60, 7, 3654–3660.)↑ これまでに水素生成用光触媒としての報告例がなかったCu2SnxGe1-xS3粉末を用いた、光触媒的・光電気化学的水素生成を世界で初めて実証。近赤外光までを利用した水素生成反応の駆動。(J. Am. Chem. Soc., 2021, 143, 15, 5698–5708.)(c)↑太陽光スペクトル(左軸)と各種光触媒の光吸収特性(右軸)研究室では様々な色を持つ光触媒粉末を合成する(右下写真)可視光の大部分を吸収可能な光触媒材料の開発は変換効率向上へ向けた重要な課題の一つ(a)↑(a)グローブボックス中での材料合成、(b)光触媒活性評価、(c)光電気化学測定(b)再生可能エネルギーの中でも最大の資源量を誇る太陽光エネルギーの有効利用は、人類の喫緊のエネルギー・環境問題の解決に必須であると言われています。一方、太陽光は地域・時間・季節による変動が大きく、時間的・空間的に大きなスケールでの貯蔵・輸送には不向きであるという欠点もあります。そうした課題を解決すべく、影島研究室では錦織研究室と共同して、光触媒材料を用いて水を分解し、太陽光エネルギーを「水素」という貯蔵・輸送に有利な化学エネルギーの形態に変換することが出来る、エネルギー蓄積型の人工光合成系構築に関する研究に取り組んでいます。太陽光と水のみから水素を得ることが出来る「人工光合成系」を構築し、化石資源に依存しない真にクリーンで持続可能なエネルギーシステムを模索することが錦織・影島研究室の研究活動です。【私の学問へのきっかけ】学部4年生のときは電気化学・表面化学に関する研究を、その後大学院では現在の研究テーマでもある光触媒・人工光合成系関連の研究を行ってきました。ラボスケールで材料をコネコネしていると、大半は大した活性のない「ゴミ触媒」になってしまうのですが、時たま狙い通りor期待以上に面白い挙動を示してくれることもあり、そうした未知の触媒・現象を開拓していく快感に魅入られて今に至っていると感じます。光触媒の研究では、材料の物性、表面の状態、それらを評価する様々な分析機器の取り扱いなど、多岐にわたる知識・能力が身に付きます。そうした研究活動やディスカッションを通して、論理的な思考と根性を併せ持った人材を育成します。2018年2月東京大学大学院工学系研究科修了、博士(工学)取得。2018年3月より現職。専門は光電気化学、材料化学、触媒化学。太陽電池・光触媒等を利用したエネルギー変換型の人工光合成系構築に従事。可視光応答型光触媒/光電極による水分解光触媒的水分解におけるプロトン供給(反応物拡散)の制御光触媒/光電極表面の多層構造化による高性能化1段階光励起で1.23 V以上の高光起電力を発電する湿式太陽電池の開発ンスファー促進の学理構築(2021年-2024年:科研費基盤研究B)ギー変換デバイスへの展開(2019-2021年:科研費若手研究)圧湿式太陽電池の創製(2018-2019年:科研費研究活動スタート支援)ソードの高性能化(2018-2019年:信州大学工学部若里会研究助成)半導体-非水溶液界面を利用した高起電力光電気化学セルの研究と人工光合成系への展開(2016-2018年:日本学術振興会特別研究員奨励費DC2)助教影島洋介研究から広がる未来研 究 シ ー ズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワード⽔分解⽤光触媒/光電極・⾼光起電⼒湿式太陽電池・⼈⼯光合成・燃料電池卒業後の未来像最近の研究トピックスCu2SnxGe1-xS3太陽光エネルギーを化学エネルギーへ変換する⼈⼯光合成系の構築

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