研究紹介_2023_日本語版(工学部)
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粘土鉱物アロフェンとチタニア光触媒の複合体を用いた空気清浄器フィルターの開発(民間企業との共同研究)銅イオン分散チタニアによる可視光応答性光触媒の開発化学析出法による光機能性薄膜の作製(長野県との共同金属チタン表面への光触媒機能の付与(民間企業との共光触媒作用により自己表面修飾した酸化チタンナノ粒子の吸着・分解機能(科研費(基盤研究C、国際共同研究加速基金))物質化学科e−H2OO2H2OCO2e−h+O2h+e−h+e−e−16自然エネルギーおよび未利用エネルギーの有効利用を促進するための基礎技術は、地球環境の保全・改善を行うためにとても重要です。人や生態系に安全な地球環境を実現するためには、自然の力を利用して環境に負荷をかけない方法で水・大気・土壌の浄化を行うための技術や、化石燃料に頼らずにエネルギーを得る技術が必要です。錦織研究室では、太陽光で機能する光触媒による有機廃棄物の分解処理およびそれを用いた発電(光燃料電池)にかかわる応用化学研究を行っています。また、光触媒作用を応用した水や有機廃棄物からの水素燃料生成などの新しいエネルギー開発につながる研究も行っています。(民間企業との共同研究)研究)同研究)粘土鉱物を用いた重金属廃棄物処理法の開発(民間企業との共同研究)粘土鉱物アロフェンを用いた光触媒表面の反応場構築と光燃料電池への応用(科研費(基盤研究C))光触媒に、天然に豊富に存在し吸着力に優れた粘土鉱物をほんの少しだけ添加するのみで、浄化や発電の効率を向上させることが可能です。廃棄物を光触媒で分解して発電する「光燃料電池」は、廃棄物の処理と発電を同時に達成することができる一石二鳥の技術です。【私の学問へのきっかけ】現在では、スマートフォン、タブレットの高性能なタッチパネルなど、光と色に関する技術は欠かせないものになっています。私は、大学4年生の時に、三原色で説明される光と色の化学の現象にとても興味をもち、光化学の研究室に入りました。それ以来、発光や発色、色の変化に関する研究を続けてきました。現在は、光を利用した技術である光触媒による有害物、廃棄物の分解、また、それを応用した発電などの研究を行っています。卒業生は官公庁の環境部門、水処理、大気浄化関連企業、電気・機械メーカーの環境管理部門等で活躍しています。環境保全や新エネルギー開発において自然の力を利用するという考え方を様々な分野で生かせるような教育をしています。多孔質チタニア光アノードを用いたセルロース光燃料電池の開発多孔質チタニアの光アノードとセルロース膜を用い、セルロースの光触媒分解により光電流を生成する光燃料電池の開発に成功した。透明薄膜電極付きガラス板上にアナターゼ型チタニアペーストを塗布し焼成することにより、多孔質チタニアアノードを作製した。その上に溶液からセルロース膜を析出させ、これを作用電極として、白金対極、水酸化ナトリウム電解水溶液を用いて光電気化学特性を測定した。セルロース膜の直接光触媒分解により、カルボニル化合物を中間生成物として二酸化炭素を生成する酸化分解がほぼ完全に進行し、光電圧1.1 V、量子効率52%の光電池特性を達成した。H. Nishikiori,* Y. Takizawa, K. Teshima, Performance of Photofuel Cells Effectively Using Cellulose Film, Chem. Lett. 2019, 48, 437–440.Y. Kageshima,* T. Yoshimura, S. Koh, M. Mizuno, K. Teshima, H. Nishikiori,* Photoelectrochemical Complete Decomposition of Cellulose for Electric Power Generation, ChemCatChem2021, 13, 1530-1537.酸化分解チタニア紫外光セルロース5 nm名古屋大学研究機関研究員、信州大学工学部助手、助教、准教授を経て2015年より現職。研究分野は環境光化学、光物理化学、光触媒化学。特に、チタニア系の光触媒化学、無機マトリックス中における有機色素の光物理化学。チタニア系光触媒の作製とその表面特性・活性評価光触媒による多糖類の分解(植物性廃棄物処理)光触媒を用いた光燃料電池の開発可視光応答型光触媒によるエネルギー変換粘土鉱物アロフェンの吸着特性の活用光触媒能を用いた表面修飾有機色素分子を用いた固体表面特性の評価無機マトリックス中における色素増感三重項-三重項消滅アップコンバージョン発光酸化チタンなどの光触媒の作用により、有機廃棄物の成分であるセルロースを分解し発電することができる天然粘土鉱物アロフェン粉末の写真(左)と電子顕微鏡(TEM)写真(右)吸着力に優れたアロフェンのナノ粒子を光触媒にほんの少しだけ添加するのみで、浄化や発電の効率を向上させることができる教授錦織広昌研究から広がる未来研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワード環境光化学・光物理化学・光電気化学・光触媒・光電変換・光燃料電池・粘⼟鉱物・表⾯修飾・有機⾊素・発光卒業後の未来像最近の研究トピックスOH−NaOH水溶液⾃然の⼒を利⽤した環境浄化から廃棄物を利⽤したエネルギー開発まで

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