研究紹介_2023_日本語版(工学部)
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最近では主に、移流・分散・散逸の三つの効果を持つ非線形波動の数理モデルとして、一般化Burgers型方程式の解の漸近挙動の解析を行っている。特に、分散効果や散逸効果が空間異方的に働く場合、それらが解の挙動にどのような影響を与えるのかを解析している。北海道大学大学院に在学中、博士課程教育リーディングプログラム一般化Burgers型方程式の解の漸近挙動に関する研究散逸と分散を伴う非線形波動の偏微分方程式の数学解析日本学術振興会科学研究費助成事業日本学術振興会科学研究費助成事業日本学術振興会科学研究費助成事業北海道大学物質化学フロンティアを開拓する⼯学基礎部⾨121Ambitiousリーダー育成プログラム先端共同研究経費(2019年4月-2020年3月)Zakharov-Kuznetsov-Burgers方程式の解の漸近挙動に関する考察福田研究室では、非線形偏微分方程式を理論的な側面から研究しています。その中でも主に、非線形波動及びそれに関連する問題に現れる微分方程式の数学解析を行っています。特に、時間の経過に伴い波の形がどう変わるかに興味があり、解の長時間挙動の解析を扱っています。一方で、周辺分野にも広く目を向けて研究しています。自然現象はその多くが非線形であるため、一つ一つを個別に調べる必要がありますが、異なる現象であっても方程式という数学的立場で考えると共通する性質も多く、微分方程式の学習を通して個別の現象という立場を超えた俯瞰的な理解が得られるのも、この分野の魅力の一つです。微分方程式は自然現象を記述する数理モデルとして、流体力学や振動・波動をはじめとする物理や工学の様々な分野に登場し、その応用範囲も多岐に渡ります。微分方程式の数学的研究を通して、実験からは得られない新しい知見が得られます。【私の学問へのきっかけ】私は高校時代、数学教師を目指して大学の教育学部に進学しました。しかし、大学の数学を勉強しているうちに、高校数学とは違った、より抽象的・理論的な数学の世界に魅了され、もっと深く学びたいと考えるようになり、本格的に数学を勉強するため、当時の指導教員の勧めもあり、北大の大学院の数学専攻に進学しました。研究を続けていくうちに、次第に大学院の数年間では短いと感じるようになり、数学者への道を志しました。まだ卒業生は数名ですが、一般企業へ就職する学生もいれば、大学院に進学してより深く研究を続ける学生もいます。本研究室では、日頃の数学のセミナーを通じて論理的思考力を養い、自身の専門に留まらずに幅広い分野で活躍できる人材の育成を目指しています。の一つ「物質化学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム」を修了しており、分野横断的な活動を数多く経験したことで、数学の研究に留まらない幅広い分野に関心を持っている。助教福田一貴新潟大学教育学部を卒業後、北海道大学大学院理学院にて博士の学位を取得し、2020年より現職。専門は非線形偏微分方程式論。特に非線形波動に関連する方程式に興味があり、解の長時間挙動の解析に力を入れて研究を行っている。若手研究(2022年4月-2026年3月)散逸・分散を伴う非線形波の偏微分方程式の漸近解析研究活動スタート支援(2020年10月−2022年3月)高次元における空間異方性を持つBurgers型方程式の漸近解析特別研究員奨励費(2018年4月-2020年3月)分散効果を伴う粘性保存則に対する初期値問題の時間大域解の第2漸近形の構成最近出版された学術論文数学のセミナーの様子。写真は中国の浙江大学に研究滞在した際の研究発表国際研究集会でも評価を受けた研究キーワード研究から広がる未来研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績⾮線形偏微分⽅程式論・⾮線形波動・解の⻑時間漸近挙動卒業後の未来像最近の研究トピックス⾮線形偏微分⽅程式論〜数学で読み解く⾃然現象〜

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