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59 大学を受験するに当たっては、自分のやりたいことや、学びたいことを考えると思います。ただ私は、高校生のころに自分が何をやりたいのかよくわかっていなかったし、その学部でどんなことが学べるのかよく知らなかったので、大学選びや学部選びに戸惑った記憶があります。信州大学人文学部は、1年生の間は、人文学のさまざまな分野の概論を学び、2年生から専攻分野を決めて、より専門的に学んでいくという特徴があります。そのため、大学入学後、実際に学問に触れながら、自分の興味にじっくり向き合うことができました。自分の興味がわかってくると、自然とやりたいことが明確になり、目標を立てて、実行することができたように思います。私の場合は、留学という夢を叶えることができました。 今私は、家庭裁判所で家庭裁判所調査官として働いています。仕事でお会いする方々は、その方の人生においてとても困難な状況にある方が多く、どうすればよりよい解決ができるのか、毎日悩んだり迷ったりしていますが、大学で得た知識や経験すべてが生かされていると感じています。 最後に、信州大学では、全国から生徒が集まってくるので、いろいろな友達ができますし、上高地や阿智村などのリフレッシュできる観光地が近く、勉強以外の学生生活も充実させることができるのではないかと思います。 私の大学生活は主に二つの刺激を受けていた。一つは、生活環境の変化である。私は青森県出身で、大学時代を松本市で過ごした。全国から集まった学生たちとの触れあいは視野を広くさせ、気づきも与えてくれた。二つは、二年次以降コースに所属してからもさまざまな分野の学生、先生方と交流を持ったことだ。私は歴史学コース日本近現代史分野に所属していたが、卒業論文で扱うテーマを決めるきっかけとなったのは社会学のフィールドワークに参加したことである。接する情報や問題、ものの見方や考え方などは偏ってしまいがちである。講義はもちろん、廊下での立ち話、時には食事をともにしながらの語らいによって自分にないものを知り、また補うことができた。卒業論文を書くにあたり、ある先生に伺った「卒業論文とは人生の墓標である」という言葉が強く印象に残っている。卒業論文のテーマは、卒業後の人生を費やして考え続けるものだと思う。大学卒業後、学びたいときに学ぶことができる環境がいかに貴重だったかを実感している。自分の大学生活、特に勉学については多くの後悔がある。もちろん、自らの選択に悔いを持たずに居られる人は少ない。これから入学する皆さんは、後悔が少しでも少なくなるよう、限られた時間で一生懸命に学んでほしい。前田智子2020年卒業宇都宮家庭裁判所栃木支部蛯名 新2018年卒業 青森県庁自分の興味にじっくり向き合うことで、目標が見えてくる卒業論文のテーマは人生を費やして考え続けるもの学びたいときに学ぶことができる大学生活はとても貴重。

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