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37人文学部 歴史学コース 准教授 日本の東洋史学は明治時代の社会のニーズに合わせて生まれた学問です。幕末に開国して、東アジアとかもっと先の方に出ていこうとするでしょう? その時に出ていった先のことがわからないと困る、現地にはどんな社会が広がっているのか、どういう来歴ででき上がったのかということを知りたい。そういうニーズに応えるためにできたのが東洋史学です。そうすると「東洋」ってどこさという話になるんですけど、西洋、つまり欧米でも日本でもないところは全部ということになりますね。地球上の人口の6〜7割くらいをカバーすることになります。そ1980年生まれ、東京都出身。博士(文学)の学位を東京大学で取得。専門は、海賊問題を含む中国の政治・経済・国際関係史。2014年から信州大学人文学部准教授。主な著書に『海賊からみた清朝』(藤原書店/2016)、共編著に『銀の流通と中国・東南アジア』(山川出版社/2019)がある。PROFESSORS 4│人文学部研究室教員んな広い地域の古代から現代までを扱うわけですから、「これが東洋史学の正統な方法だ!」なんて話はできないわけです。いろんな地域の専門家が寄り集まっているのが東洋史学ですね。 うーん、べつに「東洋史」をやろうみたいのはなかったんですよ、最初は。中国の歴史の話は好きだったんですよ。『三国志』も読んだし、ゲームもやった。陳舜臣とか田中芳樹の中国史関係の小説とかが好きで、卒論のテーマ選ぶときに、とりあえず中国やろう、指導教員の先生が18〜19世紀の中国内陸の白蓮教徒の乱をやってるから、同じ反乱をやろうか、くらいのインタビュアー:東洋史分野学生──東洋史ってどんな学問なのですか?──先生がなぜ東洋史に進んで、今の研究分野を始めたのか、その魅力みたいなものを教えていただけますか。さまざまな視点から考えてみたい。疑問を持ったり考えたり、 資料や本を読んで欧米でも日本でもないところは 全部、東洋豊岡康史 TOYOOKA, Yasufumi

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