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21 皆さんは西洋が好きでしょうか? 嫌いでしょうか? 西洋を遠く感じるでしょうか? 近く感じるでしょうか? 西洋は、好きでも嫌いでも、私たちとは無関係ではありえない場所です。遠くて近い所です。私たちの国の政治、経済、そのほかの制度から、果ては今着ている衣類に至るまで、それらの基礎は西洋から来ています。従って西洋史を学ぶということは、遠くの国の歴史を知ることであると同時に、私たちの社会の土台を理解することでもあります。遠い昔に遠い国の人が記した史料の中に、あなたは自分の言葉を見つけるでしょう。西洋史分野の教員は、そのための読み解き、まとめ、発表、討論を指導します。最終的には、そのような努力の成果を、卒業論文という形で提出してもらうことになります。東洋史 東洋史学研究室は、主にアジア地域の、あるいはアジア地域にかかわる歴史的事象について、従来の学術的な研究成果を駆使するとともに、多種多様な言語・素材からなる史料を自ら探し出して、科学的・実証的な観点から分析を加えることのできる人を育成することを目的としています。このプロセスを経て、現代社会を生きるうえで必須の情報分析・処理能力を身につけることが期待されます。 本研究室が取り扱う東洋史学を学ぶことは、第一義には、アジア地域の過去と現在を知ることです。しかし、学問的な訓練を受けるなかで習得される技能は、過去だけではなく、今そこにある現実を読み解くためにも使われるべきです。歴史学は単に過去の事実を明らかにするだけのものではありません。現状分析も視野に入れた東洋史学を学ぶことを通じて、 現実を冷静に見据え、賢く生きる術が身につけられることでしょう。 東洋史学という学問領域の中には、おおむね東アジア・北東アジア・中央アジア・東南アジア・南アジア・西アジアの地理区分があり、それぞれの地域の歴史的展開についての研究が行われています。そして、その連環も決して忘れてはなりません。アジアには交易・文化交流・社会の中の衝突と受容の歴史があります。背景の広さ・多様性とつながりを意識することが東洋史学の醍醐味でもあります。西洋史

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