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20歴史学コースでは、人びとの過去や時間に関する意識を考える学問=歴史学を学びます。歴史学は、人類最古の学問の一つであると同時に、常にもっとも新しい「現在」との対話を重視する学問です。このコースでは、そうした歴史学の方法論的な基礎を身につけることを目的としています。加えて多様な社会・文化を持つ地域の歴史についても幅広く勉強をすることを目的として、「日本史」「東洋史」「西洋史」の3つの概論を基礎に日本、アジア、そしてヨーロッパを中心として「日本近世史」「近現代史」「東洋史」「西洋史」の4つのゼミ・研究室による専門的な授業を組み合わせたカリキュラムを運営しています。 日本史領域のキーコンセプトは「考える歴史学」です。高校までの日本史は、ただ教科書を暗記するだけのものでしかありません。しかも、あれほど一生懸命暗記した日本史の知識は大学では通用しないのです。なぜなら鎌倉幕府の成立は1192年ではないし、江戸時代でもっとも有名な法令である「慶安御触書」は、実は後世の創作だったりするからです。すなわち大学で学ぶ日本史学とは、主体的かつ批判的に考え、自ら発見するものです。日本史領域では、過去の「日本」について学ぶことを通して、現在の「日本」を相対化し、 未来への展望を模索する研究を行なっています。歴史的には「日本」という枠組みは自明ではなく、国境を越えた交流や諸地域固有の文化も存在します。「日本」を越える思考と、内に諸地域社会の個性を考察する態度が必須となります。 日本史領域のカリキュラムは、演習や講義を通じて、日本史に関する素養を獲得できるように構成されています。皆さんも信州大学人文学部で、自分の頭で考える、学問としての日本史学に触れてみませんか。社会心理学 社会心理学は、社会的存在としての人間について実証的に分析し、それらの結果に基づき理論的考察や法則性の発見を目指す学問です。自ら研究を計画し、データを収集・解析し、論文を作成する実証研究を実際に推進できる力を育成することを主要な教育目標に掲げています。カリキュラムでは実験実習が重視されます。実験実習を通して社会心理学の基本知識を「生きた技術」とすることを目指します。 社会心理学は、人びとが日常的に経験するありふれた社会現象を新たな観点から問い直す科学であり、「自明とされる事柄に対し、深くその根拠を問い直し新たな認識を構築できる思索力」を育成します。また実験依頼を行うなかで、大学生や地域の人びとと適切にコミュニケートすることが必須となります。これにより、「他者の考えを明晰に理解し、自己の主張を的確に表現できる高度なコミュニケーションリテラシー」が実践的に高められます。歴史学コース日本史(近世史・近現代史)

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