農学部研究紹介(2022-2023)
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スギスギのカリウムイオン(K+)膜輸送体:CjKUP1の膜貫通構造CjKUP1は細胞内へK+を取り込む機能を持つ針葉樹では世界で初めてK+膜輸送体をコードする遺伝子(CjKUP1)を単離し、その機能や発現特性を明らかにした樹木の遺伝子解析実験野外で生育する樹木または人工気象器内で栽培した苗木から試料を採取して実験室に持ち帰り、様々な解析を行う細胞外細胞膜NH2細胞内福山泰治郎助教金沢大学等を経て2009年より現職。土砂災害の被害を減らすためにできることや,さまざまな外力が自然環境や人間に及ぼす影響を適切に評価することに関心を持っています。2017年南アルプス・藪沢の雪崩による倒木春先に南向き斜面でササを採食するニホンジカCOOH流域保全学研究室森林とバイオ研究(ラボワーク)、全く無縁な両者のように思いがちですが、森林を構成する樹木の目に見える個体レベルでの活動は、細胞・遺伝子レベルでの活動と密接にリンクしています。当研究室では、樹幹中に木材を形成するという樹木特有の仕組みの解明や、植物にとって最も重要なイオンであるカリウムイオンを細胞内外に輸送する膜タンパク質(膜輸送体)をコードする遺伝子の解析を主なテーマとして、樹木の生命活動の仕組みや生命活動により生み出される木材の性質について細胞・遺伝子レベルで研究を行っています。木材利用学研究室細尾佳宏准教授新潟大学自然科学系助手、信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点助教を経て、2012年より現職。主な研究分野は、樹木を対象とした細胞生物学や分子生物学。研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来樹木を対象とした細胞・遺伝子レベルでの研究は、シロイヌナズナ、イネをはじめとする草本植物に比べて大きく立ち遅れています。特に、針葉樹に関してはほとんど研究が進んでいないのが現状です。当研究室では、樹木の木材形成や環境応答の仕組みについて細胞・遺伝子レベルで解明し、得られた知見を樹木個体レベルでの仕組みに結びつけることを目指しています。将来的には、分子育種による成長、環境ストレス耐性などの形質に優れた樹木の開発や、開発された樹木を用いた砂漠や塩害地の緑化などにつながるものと期待されます。卒業後の未来像建材・住宅関連企業をはじめ、様々な分野の企業に卒業生を輩出しています。研究室で得た知識、技術、そして経験を活かし、民間、公務員を問わず幅広い分野で活躍することが期待されます。また、本学または他大学の大学院に進学し、研究職を目指す選択肢も考えられます。大雨や雪,地震等といった大規模なかく乱や,それにともなって生じる土砂移動等は自然現象ですが,人間の社会との接点では災害となります。人命や社会の被害を軽減するには,現象を理解し,危険な場所や条件を知ることが大切です。そこで,大雨や雪・地震・凍結融解・シカなどによる山地森林流域の土砂生産のメカニズムについての研究を行っています。現在は,雪崩によって森林が大規模にかく乱された南アルプスの亜高山帯で,倒木や雪崩跡地の土砂移動の研究や,ニホンジカが高密度で生息する地域で,シカが山地斜面の植生衰退と表土移動に及ぼす影響の研究に取り組んでいます。南アルプスなどの中部山岳域や,土砂災害の現場などをフィールドとして,その場所の地形や地質,気象,植生,履歴を理解し,そこで起きている現象を見てメカニズムを考え,防災・減災につなげたいと考えています。研究テーマについて真摯に考え,フィールド調査やディスカッション,既往研究のレビューを通じて,現象やメカニズム・対策について考える力を身につけ,国土保全や防災の分野で活躍できる人材の育成を目指します。森林・環境共生学コース森林・環境共生学コース森林でバイオ研究ー樹木の生命活動をミクロなレベルで科学するー土と水の動きをとらえることで土砂災害を軽減し,環境を保全する33

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