農学部研究紹介(2022-2023)
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上村佳奈助教東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程を修了後、森林総合研究所、フランス国立農学研究所(INRA)ポストドクを経て現職。日本およびフランスを中心に森林風害の要因解明と被害軽減についての研究を行う。小林元准教授専門分野:樹木生理生態学信州大学農学部林学科卒業九州大学大学院農学研究院修士課程修了同博士課程学位取得後修了九州大学農学部附属福岡演習林勤務同北海道演習林勤務信州大学農学部附属AFC演習林勤務手良沢山ステーションおよび西駒ステーションにおける卒業研究の風景高山帯での他大学との合同調査(西駒ステーション)(左)2004年台風23号の風害(富山県)(右)スペイン・バスク地方での風雪害風による森林内の木の振動や地中状態の観測模式図リスクマネジメント研究室森林環境生態学研究室研究から広がる未来森林の風害発生要因の解明と推定を行う本研究は、森林学、気象学、流体力学、生態力学、工学などを組み合わせた分野横断型研究です。そのため各分野の研究者と協力し合いながら、実施しています。さらにこれらの研究を森林管理という実質的な活動へつなげていくという目標を持っています。まだ発展途上の研究ではありますが、国内外の多様な分野の研究者が一つの問題に取り組むことは、研究だけでなく、柔軟な思考を持つことができ、森林風害だけでなく森林の複雑な生態や構造の理解にもつながっていきます。卒業後の未来像自身の研究分野の追及だけでなく、多様な視野をもつことや、議論を活発に行うことで、日本だけでなく海外で活躍できる研究者やマネージャー等の人材が育ってほしいと期待しています。研究から広がる未来林業の発展と地球温暖化防止に貢献することを目的として、樹木の個体成長と森林の二酸化炭素吸収に関する研究を演習林を中心としたフィールドで行っています。卒業後の未来像大学院進学(信州大学、九州大学、北海道大学、東北大学)公務員(長野県、山梨県、広島県)高等学校教員企業(木材、製紙、商社、環境コンサルタント、土木コンサルタント、JA、アパレル、住宅製造販売、自動車製造販売、緑化)その他(森林組合連合会、森林組合、財団法人日本きのこセンター)台風や豪雨などの突発的な気象現象や近年の人工林の高齢化、手入れ不足などにより、森林では大規模な破壊(撹乱)が発生しています。例えば大型台風や温帯低気圧によって膨大な数の木が倒伏したり折れたりしています。その後の病虫害発生や土砂崩れなどの他の被害にもつながっていきます。このような大規模破壊は、日本だけでなく欧州や北米等、海外でも発生しており、大きな問題となっています。しかし森林被害発生のメカニズムは、風の状況、木の性質、土壌状態、生態系等の多くの要素が複雑に絡み合っているため、未だに解明できていません。そのため国内外の多様な分野の研究者とともに、森林破壊発生の解明に取り組んでいます。【研究室のテーマ】・樹木の樹冠構造と個体成長に関する研究・人工林の二酸化炭素吸収機能の評価に関する研究・人工林における施業効果の検証に関する研究・地球温暖化に伴う亜高山帯から高山帯にかけての炭素貯留量の変動および森林動態予測に関する研究・樹木の成長を決定する環境因子の抽出とこれに応答する樹体の生理メカニズムの解明・木曽五木の物質生産と環境応答機能に関する研究・立木の腐朽診断と被害発生予測に関する研究・木質バイオマス燃料の生産管理システムの開発ABDC森林・環境共生学コース森林・環境共生学コース突発的な気象現象が森林や木に与える影響を探る木を見て森を知る、枝葉にこだわる30

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