農学部研究紹介(2022-2023)
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農水省草地試験場・岐阜大・農研機構研究員を経て2005年4月より信州大学農学部。外来植物、雑草の分布・生態調査をベースにした植生管理技術に関わる研究を行っている。山岳科学研究拠点での業務も実施。松島憲一教授信州大学大学院農学研究科修了後、農林水産省国際部係長、同省九州農業試験場総合研究チーム研究員、同省農村振興局専門官等を経て、2002年より信州大学農学部。博士(農学)。信州伝統野菜認定委員。左;有用形質を持ったソバ新品種の開発右;海外でのトウガラシ等の遺伝資源探索収集(カンボジア)左;様々な形質を持つ日本のトウガラシ在来品種右;胚培養技術等を用いたトウガラシ種間雑種の作出(観測用ドローンと自律飛行プログラムによる圃場センシング)(空撮画像処理によるアレチウリ群落の自動検出(赤))(マルチスペクトル画像による水稲の葉色診断、●は成熟の早い圃場)植物遺伝育種学研究室高齢化、獣害の増加などの様々な問題を抱える中山間地域において,トウガラシやソバ在来品種の活用、新品種の導入などを進めることにより、同様の地域におけるこれら問題を解決し、農業および食品産業の活性化を進めます。また、様々な有用植物資源の探索、収集、保全とその分類等を行うことは地域資源の利活用につながり、それらの地域内での利用・保全を進めることができれば、生物多様性の保全に貢献できるとともに、これら植物に関する伝統的知識の伝承や保全が促進されます。当研究室では植物の遺伝学育種学分野の研究、学習が中心になりますが、それら研究を実施するためには、作物の栽培、病害虫防除、分子生物学的実験手法さらには加工流通から文化的背景に至るまでの様々な分野の知識と技術が必要となります。さらに、国内外の農村地域での現地調査に参加する機会も多いため、幅広い視野を持った人材として成長することが期待できます。このような経験を積むことにより、卒業後は、公務員(研究職を含む)や、種苗会社、食品会社、農業関連企業などで活躍できる人材になります。雑草学研究室渡邉修准教授研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像トウガラシやソバなどの新品種開発を目的として、それらの持つ有用形質の遺伝解析、胚培養による種間雑種作出、さらには優良系統選抜のための分子マーカーの開発などを実施しています。また、長野県内、国内はもとより、ミャンマー、カンボジア、ネパール、ブータンなどにおいて、遺伝資源や有用植物資源の探索、収集を行っている他、民族植物学的な現地調査も実施しています。これら収集系統は育種素材としての評価、DNAレベルでの類縁関係の解明などの研究に用いられています。雑草学研究室では、空撮画像や現地調査による外来植物の早期検出や作物の生育診断の技術開発の研究に取り組んでいます。グローバル化が進み海外との人的・物質的移動が頻繁になった結果、外国産の植物が多数侵入・定着し、農作物の生産に影響が出ています。農地や周辺環境の外来雑草の分布状態を高度なモニタリング手法を使って地図化し、対策が必要な場所を効率的に検出します。ドローンで取得したマルチスペクトル画像から、作物の生育状態のモニタリングを高精度に行い、生産環境の観測技術の開発を進めています。農業従事者の高齢化や人口減少が進み、少ない人数で広い農地を管理する時代になりました。日本国内には外国産の雑草が侵入し、農業被害もでています。被害の大きな雑草の分布を早期に検出し、早めに対策を立てる必要がありますが、これを効率的に行う手法の開発を進めています。雑草対策は社会問題であり、各地の自治体、都道府県の農業試験等では雑草対策の業務がたくさんあります。農地や周辺環境の観測、雑草を見分ける視点、作物の生育状態をモニタリングする手法を習得することで、農業分野だけでなく様々な業種へ技術展開を進めることができます。フィールドにおける雑草調査、ドローンによるセンシング技術の習得を通じて、広い農地を少人数で管理するための技術の開発に関わることができます。マルチスペクトルカメラによるセンシング技術と高度な画像処理技術を修得するとともに、作物や雑草の生理生態特性の解明に繋がる研究を展開でき、先端技術を活用した仕事を展開できます。100m植物資源科学コース植物資源科学コーストウガラシ等の新品種開発および在来品種の復活等で、地域の農業と食品産業を活性化農業生産や生態系に影響を与える外来植物のモニタリングと生育診断25

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