農学部研究紹介(2022-2023)
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電子顕微鏡レベルから生産現場まで(写真一枚or複数枚組み合わせ)(写真一枚or複数枚組み合わせ)1998年より信州大学農学部勤務。2002年から10ヶ月、オランダ・ワーゲニンゲン大学客員研究員。植物遺伝資源の保全・評価・開発研究や民族植物学的調査研究に関心がある。海外での調査研究も数多く行っている。萩原素之教授石川県農業短期大学助手、信州大学農学部助手、同助教授を経て、2003年11月から現職。食料生産の向上・安定のため、低投入条件や不良環境下での作物の生育と収量の改善策を探る。現在、研究しているアマランサスの花序(左)と種子(右)。種子中には多くの栄養成分を含み、高い環境適応性をもつ。ブルキナファソでの現地調査(左上)、ネパールでの試験圃場の様子(左下)、長野県下伊那郡に伝わる清内路あかね(右)希少なモチ米品種「白毛もち」の栽培実験サーモカメラによるソバの水ストレス評価実験風景:光合成速度・蒸散速度の測定,作物が吸収した窒素の定量,植物体温測定による水の過不足の評価,発芽時に種子から溶出する物質と発芽の良否の関係の調査,などを行う大学内での研究だけでなく,現場に出かけることも(農家水田でのイネの収量調査の合間に「農魂」にふれる)過湿条件でもよく発芽するダイズ品種を探すダイズ種子の電子顕微鏡観察植物遺伝育種学研究室根本和洋助教作物学研究室生産現場を支援する都道府県農業改良普及センター職員やJA職員として活躍できます。また、国家・地方公務員の行政職や技術職の立場で農産業の発展に貢献することもできます。種苗や農業関連資材・機材の生産販売を行う企業、食品メーカーでも卒業生が多く活躍しています。研究から広がる未来私たちは、植物遺伝学、植物育種学、分子生物学といった学問分野をベースにして、育種学の理論と技術を応用して、作物の遺伝的改良に関する調査研究を進めています。社会のニーズに見合った育種目標を掲げ、世界の農業・食糧問題に貢献することを目指しています。また、国内はもとより海外での現地調査も積極的に実施しており、将来、海外の農業研究の現場で活躍できる人材の育成にも努めています。卒業後の未来像フィールドでの対象作物の栽培試験から、ラボでの遺伝解析や成分分析等、植物育種に関する幅広い調査研究を通じて、基礎的技術と応用の両方を習得します。卒業後は、種苗会社、食品関連企業、公務員研究職等で活躍できる人材になります。研究から広がる未来世界の人口増加に見合う食料増産が必要ですが、持続的生産のためには石油やリン鉱石(リン酸肥料の原料)等の有限資源の使用削減が必須です。また、不良環境での生産向上も必須です。今の時代の人だけでなく、未来の人も食べていけるような農業への変革が求められています。未来のあるべき農業は生態系と生物機能をより巧みに利用した高度な資源循環システムでしょう。このようなシステムに一歩でも近づいていくため、有機肥料、土壌の乾燥や過湿といった栽培条件での土と作物との相互作用に注目して作物生産の向上・安定を目指しています。卒業後の未来像途上国における食糧・栄養問題を解決する、また、有用な機能性成分を多く含み私たちの食生活をさらに豊かにする、そのような可能性を秘めつつもあまり知られていない作物が世界にはまだたくさんあります。当研究室では、これらの低・未利用資源作物に光を当て、育種学的観点から遺伝的改良に取り組んでいます。同時に、急速に失われつつある在来作物資源を次世代に残すべく、保全遺伝学的アプローチによる研究を進めています。私たちは研究対象となる作物について、フィールドでの調査とラボでの分子生物学的手法による幅広い研究を展開しています。主にイネ、ダイズ、ソバについて、収量と品質の向上のための栽培技術の改良や開発を行っています。品種改良がAKB48の新メンバーとすれば、栽培技術の研究は秋元康、つまりプロデューサーに相当し、タレント(品種)がもつ魅力(能力)を理解し、引き出して人気(収量・品質)を高める、どんなキャラのタレントが売れるのか(どんな特性を持った品種が必要なのか)提案するといった役割を果たします。現在、倒れやすく栽培しにくい稲品種の栽培法改良、ダイズ栽培における有機肥料の合理的利用、過湿条件でも発芽良好なダイズ品種の選抜法開発、ソバ植物体温測定による土壌水分管理の最適化などのテーマで研究しています。植物資源科学コース植物資源科学コース品種(遺伝子)だけで勝負は決まらない作物の才能を発揮させるproducer:作物学低・未利用資源作物を遺伝的に改良し、在来作物資源を未来に向けて保全する23

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