農学部研究紹介(2022-2023)
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先生のお写真宿主細胞を殺し、栄養を摂取する入枝泰樹准教授博士研究員を経て2016年10月より信州大学農学部。糸状菌(カビ)と植物の感染・防御機構を解明する研究に取り組んでいる。両者の生物間相互作用に着目した病害防除法の開発に繋げたい。ウリ科花粉の保存方法.一年以上の保存が可能.LED光源下でのレタスの生育差異(左:赤色,右:青色).インドネシアバルドゥア村でのイチゴバッグ栽培と選果.また,パジャジャラン大学の先生との共同実験の様子.炭疽病菌等の植物病原糸状菌(カビ)はそれぞれの宿主植物の免疫系を抑制して感染するウリ類炭疽病菌が感染したキュウリの葉(左)緑色蛍光タンパク質で可視化したカビの活物寄生型侵入菌糸(右)蔬菜園芸学研究室阿久津雅子准教授博士(農学)取得後,博士研究員等や東海大学基盤工学部准教授を経て,2020年4月より信州大学農学部。専門は園芸学。微生物植物相互作用学研究室研究から広がる未来植物の新品種を育成する際に,植物体や種子などではなく,花粉のみを輸送する事で栽培不適地や栽培時期がずれている地域でも気軽に授粉が可能となります。現地で一から花粉親である植物を育てる必要がなくなります。そのため,日本国内だけでなく,海外でもこれまでにない新しい植物を育成出来るようになるようになるかもしれません。卒業後の未来像植物の生育を観察し,実験によって得られたデータや知見をまとめ、発表することで客観的な見方が出来るようになると思います。また研究を通じて,自分の信念や考えを持てるようにサポート出来たらと考えております。研究から広がる未来炭疽病菌は非常に種類が多く、様々な植物に感染被害をもたらしている植物病原糸状菌(カビ)です。その感染メカニズムを完全に掌握し、植物が本来備える免疫系を十分に理解すれば、植物保護に大きく貢献できます。また、カビと植物の相互作用システムは学問としても魅力的な素材です。植物保護の観点に立ちながら学問を追求することで、新しい「糸状菌病防除技術の開発」と「自然界の真理の探究」を同時に行うことができると考えています。卒業後の未来像大学、研究所、企業等の研究従事者に必要な生命科学の基礎および専門の知識・技術が習得できます。また、論理性・問題抽出力および解決力・表現力等、社会で役立つ能力が磨かれますので、カビや植物に関連しない様々な分野でも活躍できる人材になります。蔬菜,花卉,果樹からなる園芸作物の発芽から老化までの一生を網羅的に研究し,農業への還元を目指しています。なかでも,有機溶剤などを使用せずに,スイカやニガウリ等のウリ科花粉で証明された花粉の長期保存方法を他の植物種での応用を目指したり,様々な環境条件下での園芸作物の生育差異やその機構等に関して,研究を行っています。また,インドネシア西ジャワ州ガルト県バルドゥア村でかつて形成されていたイチゴ産地の再構築を目指して,現地のパジャジャラン大学で土壌条件を始めとする栽培条件に関して共同研究を行っています。植物病害を引き起こす原因の70~80%は糸状菌(カビ)です。糸状菌病を防除するためには、病原糸状菌と植物の相互作用を深く理解する必要があります。本研究室では、多種多様な農作物に甚大な被害をもたらす炭疽病菌(Colletotrichum属菌)と、その宿主・非宿主植物を対象に、両者の共進化の結果である感染・防御戦略を研究しています。病原糸状菌はどうやって植物への感染を成立させるのか。そして、植物はどのように糸状菌の攻撃を防ぐのか。これらの課題を分子レベルで解明することを目指しています。10mm植物資源科学コース植物資源科学コースカビと植物が織りなす共進化両者の巧みな感染・防御戦略に迫る園芸作物の一生を研究することで,農業へ還元19

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