農学部研究紹介(2022-2023)
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マウスに摂取させて免疫状態を評価する<研究の概要>信州の伝統野菜の一つである野沢菜など、食品および食品由来成分がもつ免疫調節機能とそのメカニズムを明らかにする。マイクロマニピュレーター野沢菜コモンマーモセットマウスの脾臓から免疫細胞を単離野沢菜により活性化した免疫細胞の様子ホールディングピペットインジェクションピペット卵子卵子ES細胞iPS細胞野沢菜漬け浅漬け古漬け田中沙智准教授北海道大学、帯広畜産大学を経て、2013年10月より信州大学農学部に赴任。これまで免疫学を中心に研究を行ってきた。免疫学の他、栄養学、予防医学、抗加齢医学に関心がある。富岡郁夫准教授東北大学、慶應義塾大学、実験動物中央研究所、国立精神・神経医療研究センターを経て、2020年より現職。専門は動物生殖学・発生工学・神経科学。哺乳動物の卵子や精子を顕微鏡下で操作するマイクロマニピュレーター(左)と、体細胞クローン動物や遺伝子改変動物を作出する胚操作(右)。小型の霊長類であるマーモセット(左)と、そのES細胞(右上)・iPS細胞(右下)。遺伝子改変技術が確立され、扱い易いため、近年、ヒトのモデルとして注目を浴びている霊長類である。食品免疫機能学研究室応用生殖科学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来生殖学の応用技術である発生工学技術は、個体の遺伝子改変を可能にし、医学・生理学・農学をはじめとする生命科学分野で必須のツールとなっています。この技術を用いると難病の原因遺伝子を動物に持たせることができ、ヒトの難病モデルを作出できます。優秀なモデル動物の作出は難病克服への特急券となり、農学部から難病克服に貢献できる研究成果を発信します。卒業後の未来像研究者・製薬会社・食品会社・病院・生殖医療クリニック・胚培養士・細胞培養士・ノーベル賞学者など私たちの体内環境は、食生活の乱れや加齢、大気汚染、ストレスなどの生活環境を取り巻く様々な要因によって悪化し、免疫機能が低下するといわれていますが、そのメカニズムの全容解明には至っていません。そこで当研究室では、食品の摂取による免疫機能への影響について解析し、その分子メカニズムを明らかにします。また、免疫機能の低下に伴う病気を予防するために、食品中に含まれる免疫賦活成分を探索し、科学的エビデンスに基づいた免疫機能を高める食習慣に関する研究を進めています。生命の始まりである受精卵は、動物を構成する全ての細胞へと分化できる万能細胞と呼ばれています。その受精卵を扱う生殖学も、万能細胞のようにあらゆる研究分野へと繋がる学問です。本研究室では、①動物生殖学、②発生工学、③神経科学の3本柱で研究を進めています。①動物生殖学研究では、代謝シグナルと性ホルモン合成の関連メカニズムを解明することで、生活習慣病に起因するヒトの不妊や、濃厚飼料の給餌と関連性が示されているウシの受胎率低下の克服を目指します。②発生工学研究では、本研究室の強みである個体レベルでの遺伝子改変技術を用いて、ノックアウト動物や遺伝子改変動物を作出し、未知の遺伝子の機能探索や、新たな研究ツールとなる動物を作出します。③神経科学研究では、小型の霊長類であるマーモセットを用いて、ヒトの難病モデルを作出し、疾患の克服を目指します。遺伝子・分子レベルから個体レベルまでのオールラウンドな研究、そして基礎研究では終わらない実践的研究を目指します。免疫賦活効果あるいは炎症抑制効果をもつ食品由来成分を探索・同定します。将来的には、感染症やアレルギー疾患、がんなどの各種免疫関連疾患の予防につながる食品の開発を目指します。また、免疫機能を高める食習慣を提案し、健康長寿社会に貢献する先端的な研究を展開します。免疫学に関する実験を通して、細胞培養、タンパク質実験、遺伝子実験、マウス実験の手技が身につきます。卒業後は、食品会社、製薬会社への就職が期待できます。動物資源生命科学コース動物資源生命科学コース食と免疫の融合研究~食生活の改善で免疫機能を高める~生命の始まりの探求遺伝子改変技術で難病克服に貢献16

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