農学部研究紹介(2022-2023)
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核/野視明ンシオミ0日目2日目4日目高谷智英助教博士(医学)。ミネソタ大学研究員を経て、2015年より現職。「動く細胞」である筋肉に魅かれて、骨格筋や心臓の疾患・再生の研究を行ってきた。専門は幹細胞生物学。医農連携の新しい研究を開拓していきたい。動物行動管理学研究室竹田謙一准教授2000年信州大学農学部助手を経て、2008年より現職。この間、山梨県酪農試験場客員研究員を併任。専門は、応用動物行動学、家畜管理学。動物福祉(アニマルウェルフェア)に配慮した家畜の飼養管理管理に興味を持って、研究を進めています。行動観察から乳牛の肉体的、心理的状態を把握し、調査牧場における乳牛の動物福祉(アニマルウェルフェア)を評価しています。放牧牛の状態を把握するためのIoT機器を首に装着し、いつでも、どこでも、だれもが牛の様子が分かるシステムの開発に取り組んでいます。マウスの骨格筋幹細胞(0日目)から筋肉細胞(4日目)への分化を捉えた顕微鏡写真。細胞のダイナミックな変化は幹細胞研究の大きな魅力であり、醍醐味です。骨格筋幹細胞を活性化する新規分子の一例分子細胞機能学研究室私たちの暮らしは、様々な点で、動物たちと関わっています。例えば、「HappyCow,HappyLife」で表される様に、幸せな生活環境で飼育されている乳牛は乳量も多く、生産されたミルクの質も高いので、私たちの生活の質は向上します。動物の飼養管理システムの構築は、動物行動学のみならず、多面的なアプローチを必要としています。卒業生は自ずと目前の事象を多面的に捉える能力を身に付けます。卒業後は、技術指導者、専門機関での動物飼育管理者等として活躍できる人材として社会に飛び立ちます。研究から広がる未来当研究室では、様々な幹細胞を用いて、組織が再生する仕組みを研究します。また、幹細胞を活性化する分子を探索し、組織の健康を保ち、超高齢社会の克服に役立つ食品や医薬品の開発も目指します。私たちが発見した、骨格筋の分化を誘導する分子は、筋疾患や再生医療への応用展開も期待されています。筋肉は、食肉としても身近な存在です。筋肉の研究は、家畜・家禽による食肉の生産とも深く関係しています。マウスやヒトの研究で得られた成果を、ニワトリなどの家禽でも展開しています。卒業後の未来像幹細胞生物学の知識や技術を学びながら、研究テーマに関連する医学・生物学を勉強することで、広い視野から問題を解決する能力を養います。卒業生は、製薬・食品などの各分野で活躍しています。研究から広がる未来近年、生産者1戸あたりの家畜飼育頭数が増加傾向にあります。右の写真のように家畜の状態を精密に監視するためには多大な時間と労力を要します。私たちの研究室では、動物とは縁遠い様々な分野の企業との共同研究を進めていますので、卒業論文、修士論文を通じて、畜産分野の新たな展開を自分の目で確かめ、経験することができます。卒業後の未来像自立した生活を送ることができる「健康寿命」を維持するためには、運動器(筋肉や骨)の働きが不可欠です。加齢や疾患に伴うロコモティブ症候群(筋萎縮や骨粗鬆症)の克服は、超高齢社会において重要な課題です。私たちの研究室では、幹細胞生物学の知識と技術を駆使して、加齢や疾患の背景にある生命原理の解明に挑んでいます。また、運動器の機能を維持するための創薬を目指した分子の開発など、生物学・農学・医学・薬学の領域にまたがるユニークな研究を展開しています。(https://t-takaya.net/)皆さんは、「ソロモンの指輪」って知っていますか?ソロモン王が動物たちと話すときに使う道具のことです。しかし現実の世界に、そのような指輪は存在しません。ヒトと言葉を交わすことができない動物の気持ちを理解できる唯一のツールが動物行動学です。私たちの研究室では、ウシやヒツジといった農用動物(家畜)を対象に、彼らが身体的、精神的苦痛を少しでも感じることなく生活できる状態(アニマルウェルフェアと言います)を把握し、良好なアニマルウェルフェア状態となるような飼育方法の開発、提案を目指しています。動物資源生命科学コース動物資源生命科学コース動物の快適な生活環境の創造を目指して運動器の機能低下を予防し、~精密家畜管理学の世界~健康長寿社会の実現を目指す15

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