農学部研究紹介(2022-2023)
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強化Lactococcus lactisLactobacillus rhamnosusGG高木優二准教授1990年信州大学農学部助手を経て、1999年より現職。この間、山梨県酪農試験場客員研究員を併任。専門は動物生殖学。哺乳動物の受精卵の美しさに魅了され研究の世界へ。近年は精巣を中心に研究を行っている。分子生命工学研究室下里剛士教授米国食品医薬局研究員、米国国立ガン研究所研究員、信州大学テニュアトラック助教・准教授を経て、2019年より現職。専門は、動物生命科学・畜産物利用学・乳酸菌科学。動物生殖学研究室研究から広がる未来酪農科学・乳酸菌科学を軸に、乳酸菌やビフィズス菌といったプロバイオティクスの他、未知の腸内細菌を研究対象としています。また、長野県の主導する「発酵長寿プロジェクト」に参画し、信州各地の老舗醸造蔵に宿る蔵付乳酸菌ライブラリーの構築を進めています。長寿エリア信州の魅力を次世代に繋ぐべく、乳酸菌科学の視点から発信していきます。卒業後の未来像研究室では「自主性の強化」に重点を置いています。研究課題の解決に向けて、方策を徹底的に考え、研究計画の企画・立案、実験による検証と成果発表に至る一連のプロセスを重視し、指導しています。大学院(修士課程・博士課程)への進学の他、就職先としては、食品系(主に乳業関係)・製薬系メーカーに卒業生を多く輩出しています。研究から広がる未来動物生殖学研究室では、生殖細胞をとおして生命現象を解明する基礎研究を行っています。また、得られた知見を応用することにより、人類の発展に寄与することを目指しています。精原幹細胞を、幹細胞の能力を維持しながら自由に増やすことが出来れば、体外での精子形成や、精原幹細胞の精細管への移植により生体での精子生産が可能となり、遺伝子改変など生殖細胞の人為操作がより容易なものになるものと思われます。さらに、ヒト男性不妊の新たな治療法の開発にも貢献できます。精子をはじめ生殖細胞の保存に関する研究の進展により、常温保存など全く新たな保存方法への応用が期待されます。卒業後の未来像組織培養や生化学実験を通して、実験動物の取り扱いやバイオテクノロジーに必要な技術が身につきます。また、自ら立案し試行錯誤を重ねながら研究を進める力を養うことが出来ます。卒業後は製薬会社、食品会社、不妊治療を専門とする産婦人科の胚培養士として活躍出来る人材になります。超高齢社会を迎え、健康維持・増進、疾病予防・早期回復など、私たちが日々摂取する食品の果たす役割は、極めて大きなものとなっています。当研究室は、荻田佑助教、重盛駿助教、佐藤隆特任教授(医師)との共同運営体制により、乳酸菌や腸内細菌がもたらす生体調節作用について追求しています。とくに乳酸菌の菌体成分が有する健康機能の他、革新的な機能を備えた乳酸菌の創発研究に取り組んでいます。将来的には、新たな機能性食品や家畜飼料素材の創製を実現させたいと考えています。動物生殖学研究室では、マウスをはじめブタやウシなどの哺乳動物の卵子や精子、性ホルモンなど生殖や繁殖に関する研究を行っています。特に、精子のもとになる精原幹細胞(SpermatogonialStem Cell)の様に多能性・多分化能を維持した細胞に関心があり、これらの細胞を用いた基礎研究や応用研究を進めています。また、精子の低温・常温保存技術および卵子のガラス化保存ならびに非凍結低温保存技術の開発も行っています。これら生殖に関する生命現象を解明し、動物生産やヒトの不妊医療への応用を目指しています。乳酸菌は、発酵乳製品の製造に利用されてきました。しかし近年では、有用物質の生産体や運搬体としての役割、すなわち「乳酸菌ワクチン」の開発が期待されています。私たちは、人類の健康維持・増進という観点から、様々な乳酸菌組換え体を作出し、乳酸菌ワクチンの開発基盤の構築を進めています。乳酸菌や発酵乳の健康効果は、人類の長い歴史に裏付けられています。しかし、乳酸菌の効果には個人差が大きいことや、その持続性において課題が指摘されています。私たちは、腸管に棲みつく乳酸菌をモデルに、プロバイオティック機能を強化する取り組みを進めています。幼若ブタ精巣の精細管組織の画像。精細管の中で精子が形成される。精原細胞特異抗体により精原細胞のみを染色することが可能だ精巣細胞を酵素でバラバラに解離すると様々な細胞が得られる。ブタ精原細胞特異抗体で染色すると、生きた精原細胞を蛍光色素で染めることが可能である。FACS分取装置で分離が可能で、精原細胞のみを単離できる。この細胞だけを培養して精子を形成させる研究を進めているブタ精子の運動性を評価するために、高輝度LEDと超高速ビデオカメラを用いて、精子鞭毛の動きを解析するシステムを開発した。また、同システムを利用しながら精子の保存条件を種々検討している組換え乳酸菌の開発乳酸菌野生株ー乳酸菌ワクチンの開発ーー腸管に棲みつく乳酸菌を強化するー投与疾病モデルマウスワクチン効果の検証腸管付着性を強化した乳酸菌動物資源生命科学コース動物資源生命科学コース生殖細胞を用いて生命現象に切り込むアニマルバイオテクノロジー機能強化乳酸菌の創製研究14

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