A反応液を精製して生成物を単離し、構造解析や活性試験を行います筒井歩助教北里生命科学研究所特別研究員、理化学研究所特別研究員を経て、2017年より現職。研究分野はケミカルバイオロジー、生物有機化学、有機合成化学、糖化学。中村浩蔵准教授日本学術振興会特別研究員、JST科学技術特別研究員を経て2002年より信州大学農学部。伝統的な地域資源をリバイバルして、新しい機能性食品を開発し実用化する研究に取り組んでいます。新規な降圧成分として特定されたコリンエステル。自律神経活動を制御して、血圧を適正に保つと考えられます。ラクトイルコリンが天然に存在することは我々が世界で初めて明らかにしました。アセチルコリンは、哺乳類の神経伝達物質です。多くの発酵食品と一部の植物に含まれていますが、なぜかナスに大量に含まれています。ナスのアセチルコリンはリラックス作用で高すぎる血圧を下げると考えています。研究から広がる未来生体物質を始め、自然界に存在する機能性物質は私たちの身体に有用なものばかりではなく、害になるものもあります。化合物そのものがもつ機能と性質を明らかにし、活性発現のしくみを明らかにすることは、生理現象の解明だけでなく、機能性食品や健康サプリメント、医薬品といった分野にも応用できると考えています。自然界に存在する化合物からヒントをもらい、有機合成の技術を使ってより有用な構造の化合物を作りだすことにもチャレンジしています。卒業後の未来像生体物質や機能性天然物の活性の発現やしくみについて有機化学の視点から研究します。有機合成、機器分析、生物評価などの知識や技術を生かし、大学院でのステップアップや化学品メーカー、食品会社、製薬会社を始めとする関連企業などでの活躍が期待できます。研究から広がる未来卒業後の未来像生体内で起こる反応は酵素反応が主流ですが、中には非酵素的な生体反応も少なからず存在します。私たちの研究室では生体内で起こる非酵素的な新規化学反応と、生成する化合物の機能を明らかにする研究を行っています。実際、私たちの研究室では、試験官の中で生成した新規化合物と同じ化合物を細胞内物質として同定しました。さらにはその化合物が細胞内で生成する反応機構を明らかにしつつあります。将来は生体内で起こる化学反応を制御することで、疾患予防・治療、創薬開発などにも繋げていきたいと考えています。研究で扱う物質はペプチド、アミノ酸、ポリアミン、糖などの生体物質が中心です。そして有機合成、各種機器分析、細胞試験などの手法を用いて研究を行っています。機能性分子解析学研究室信州・長野県には古くから伝承されてきた地域資源が数多く存在します。これらの伝統的な地域資源を見直し、新しい組み合わせにすることで、新規な機能性食品を開発します。右図の「発酵キョウバク」は、「ソバ」と「漬け物」という地域資源の新しい組み合わせで、降圧作用を持つ機能性食品を創り出した一例です。最近、ナスにアセチルコリンが大量に含まれ血圧調整作用があることを、世界で初めて発見しました。高血圧は、脳溢血や心臓病など循環器系重大疾病の危険因子です。現在、日本で4730万人、世界で10億人以上の人々が高血圧に悩まされています。機能性食品で高血圧を予防し、循環器系重大疾病の予防に役立てたいと考えています。食品分子工学研究室発酵キョウバクから見つかった、新しい食品機能性成分・コリンエステルは、少ない量で効果を発揮するため、安価で多くの人に利用してもらえる機能性食品を開発することができます。コリンエステルはナスに大量に含まれてることが判り、現在、ナス機能性食品を開発する大型プロジェクトに取り組んでいます。日本だけでなく世界的な高齢化が進行しており、健康長寿社会の実現は、今や世界的な課題です。信州発の新しい機能性食品を開発し、健康長寿社会に貢献するためベンチャー企業を立ち上げました。当研究室では、機能性食品実用化のために必要な、有効成分の同定、分析、動物試験での有効性確認、機能解析、安全性試験など多岐にわたる知識と技術を身に付けることができます。将来は、これらの専門知識と技術を活かせる医薬品や食品企業での研究開発、商品開発などの技術職で活躍してくれることを期待しています。研究室ではベンチャー精神も学んでください。ベンチャー精神を持つ人材は、大手企業で高く評価されます。合成実験の様子。ABDBC6信州・長野県の地域資源であるソバは、実だけでなく茎や葉も古くから食されています。すんき漬は、塩を使わない信州の伝統的な乳酸発酵食品です。ソバスプラウトをすんき漬の製法で加工したソバの漬物が「発酵キョウバク」です。生命機能科学コース生命機能科学コース健康長寿社会の実現に向けて地域資源を活用した機能性食品の開発有機合成化学から生命科学へ~生命現象の解明と有用物質の創生~
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