繊維学部研究紹介
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教員紹介遺伝子実験部門の松村研究室では、この数年で著しい技術革新が行われているDNA配列の解析技術を活用して、作物の品種改良(育種)に貢献するための研究を行っています。このような新しい技術によって、作物の全DNA配列(ゲノム配列)を解析することも容易になっていますので、農作物の品種間の違いや、各々品種が持つ特性の違いがどのようなDNA配列の違いによるものかを解明することができます。当研究室では、イネ、クワから、沖縄県との共同研究による熱帯作物までを取り扱い、効率的に新しい品種を育成するための基盤となる研究を行っています。遺伝子実験部門の松村研究室では、できるだけ最新のDNA解析技術や、その情報を取り入れて作物の品種改良に貢献することを目指しています。作物の種類によって生殖(交配)の方法、病気、環境から受けるストレスは異なっています。ゲノム情報を活用することで今までよりも短期間に品種を育成して、環境の変化に対応した、食料の安定確保ができるようにしたいと考えています。ゲノム解析の技術は全ての生物に共通ですので、研究内容に関連した種苗、食料関連の業界だけでなく医薬等の業界などでも活躍できるような知識、経験を身につけてもらいたいと思っています。松村英生教授㈶岩手生物工学研究センター主任研究員を経て2021年4月より現職。研究分野は遺伝子の発現などを大規模に解析する機能ゲノム学や植物の遺伝的な改良を研究する育種学。DNAシークエンサーを使って単離したDNAの塩基配列を決定することができます沖縄県との共同研究で、パパイヤの性(雌雄)決定のメカニズムの解明についても研究を行っていますサイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm卒業後の未来像研究から広がる未来遺伝子実験支援部門ゲノムの持つ情報を食料生産に活用する教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像遺伝子実験支援部門ミクロの世界の集団生活。ゲノム情報から見えてくる細菌の生存戦略とは?肉眼では見えないミクロの世界で、単細胞の細菌たちはどのように生きているのか---自然環境下で、多くの細菌は集団で生活し、お互いにコミュニケーションを取り合っていることが分かってきています。当研究室ではプラスチックや金属など、様々な固体表面に付着した細菌が増殖を始め、やがて多細胞生物のように集団化(バイオフィルム形成)するまでの過程で、どの遺伝子をどのように働かせているかについて研究を行っています。細菌が状況に応じて集団化する仕組みを知ることは、工業や医療の分野で問題を引き起こすような細菌を標的とした薬剤の開発にも繋がると期待されています。枯草菌の電子顕微鏡写真(左図)。私たちは、細菌の集団化に関わる遺伝子機能の詳細を明らかにし、それら遺伝子の働きが活性化(ON)、抑制化(OFF)される仕組みの全容解明を目指しています。小笠原寛准教授法政大学マイクロナノテクノロジー研究センター研究員、日本学術振興会特別研究員、信州大学ヒト環境科学研究支援センター助教を経て、2021年より現職。研究テーマは、細菌のバイオフィルム形成に関わる遺伝子発現ネットワークの解明社会的ニーズの高いバイオテクノロジーの知識や技術を学べるので、就職先としては食品メーカーや製薬メーカー、その他バイオ系企業等が考えられます。これまでの卒業生は、食品メーカー、バイオ医薬品メーカー、繊維メーカー、澱粉メーカー、精密機器メーカー、土木建設・リサイクル関連会社等に就職しています。遺伝子解析技術が日々進歩する中、細菌の全ゲノム配列は容易に明らかできる時代になりました。その中には、私たちの生活向上にも役に立つ遺伝情報が多く含まれていますが、細菌はすべての遺伝子機能を、いつも働かせている訳ではありません。細菌が状況に応じて必要な遺伝子を働かせる仕組みを知ることで、個々の細菌の持つ能力を最大限に利用することも可能となります。大腸菌の遊走性形態とバイオフィルム形態のスイッチング機構(左図)。多くの細菌はバイオフィルム形成能を持ち、外部環境の変化に応じて遊走性形態とバイオフィルム形態の切替を行っている。その機構には多くの転写因子(TF)が関わっている。バイオフィルム形成に関わる細菌のアミロイド線維は、有用なバイオマテリアルとしても注目されている。54

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