繊維学部研究紹介
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動物細胞の免疫を活性化する枯草菌由来成分の探索も進行中写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm微細な変化も見逃さないように電子顕微鏡でも観察します写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm教員紹介枯草菌(納豆菌の類縁菌で産業的にも重要な細菌)は古くから研究されている土壌細菌であり、病原菌から植物を保護したり、有機物の堆肥化や汚水の浄化などに役立っています。また産業面でも、酵素およびビタミン類、抗生物質等の有用物質生産に利用されています。山本研究室では、以前より枯草菌のゲノム解析(国際共同研究)に携わってきました。現在も、枯草菌が保持している約4,100遺伝子が担っている機能を解明するために、国内外の研究室と連携しながら、より詳細な研究が進行中です。このような研究を通して、枯草菌を一つの重要な微生物資源ととらえ、その理解を深めるとともに、さらなる活用に向けた取り組みを進めています。山本研究室では、枯草菌が持つ潜在能力を最大限に活用するために、細胞表層を修飾するテイコ酸ポリマーが担っている機能の解明や、分泌タンパク質がどのような機構により正しい位置に局在化されるのか等について研究を進めています。将来的には、類縁細菌が持つ遺伝子資源の有効利用や、病原性細菌の効率的な防除システムの構築等に応用できる技術の開発を目指しています。卒業後は食品関連会社や製薬会社に就職するケースが多くなっています。また、研究を通して得られた知識や経験を発展させて、国内外の研究機関でさらに研究を続けている人もいます。その他、行政機関や学校教員として、大学で学んだ知識を社会に広める立場に進むケースも見られます。山本博規准教授信州大学繊維学部助手を経て、2007年より現職。研究分野は、細菌細胞で機能している分子の性質を調べる微生物学や、枯草菌等の細菌が持っている潜在能力を活用するための応用微生物学。細胞表層を修飾するポリマー成分を変化させた場合、細胞にどのような影響が見られるか、蛍光顕微鏡等で観察しています研究から広がる未来卒業後の未来像応用生物科学科微生物資源の有効利用を目指す~枯草菌が持つ潜在能力の解明と応用~52教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像応用生物科学科ヒトへの”優しさ”を科学的に解明して、より良いバイオマテリアルを創る!シルクは古くから高級アパレル材料として使用されてきており、近年ではヒトに“優しい”天然由来材料としても認識され重用されています。ではなぜシルクはヒトに“優しい”のでしょうか?研究室では、様々な観点からシルクの特性についての理解を深め、また秘めた特徴を引き出し制御することで、ヒトに優しい機能性バイオマテリアルとしての展開につなげます。また、“優しさ”の解明で得られた知見を、他の様々な材料にも適応させていきます。さらに、素材の良さを引き出しながら、様々な機能性分子を、ヒトにも環境にも優しい手法でバイオマテリアルに固定化して、高機能化を図ります。シルクフィルム上で培養した細胞の接着の様子シルク上の細胞は特徴的な挙動を示します機能性ペプチドの一例様々なペプチドを設計・合成し、固定化することで、バイオマテリアルとしての更なる高機能化が図れますヒトが元来もっている体の機能を補助・正常化させたり、傷・疾患を治癒したり、回復を促進したりすることができるバイオマテリアルの創出は、私達のQOL向上につながり得ます。シルクの医療分野への展開を中心として、材料開発の観点から、ヒトに優しい社会・未来を構築することを目標に研究を進めています。研究活動では、これまでに作られていないものを作り、未解明のことを明らかにするために、調査・設計して、実験して、得た結果を考察して、次につなげる、を何度も繰り返します。研究室活動を経て、卒業・修了後、無限の可能性をもった未来につなげてもらえるような人材育成を目指しています。橋本朋子准教授農業生物資源研究所(現・農研機構)特別研究員、奈良女子大学研究院助教を経て、2021年より現職。研究分野は高分子バイオマテリアル。

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