繊維学部研究紹介
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科生体に倣う環境調和型プロセスによる機能性材料の創製と医療応用生物の有するバイオミネラル(歯や骨、貝殻などの天然の有機無機複合材料)は、常温常圧の穏やかな環境下で構築されるにも関わらず非常に優れた機能を有しています。そのため、バイオミネラルの構築プロセス(バイオミネラリゼーション)を学び、模倣することで環境負荷の小さなプロセスにより、バイオミネラルのような優れた機能を有する材料創製が可能になると期待されています。また、研究室ではバイオミネラリゼーション研究のみならず、生物から学び・倣う材料作りを目指し、ハイドロゲルやイオン液体などのソフトマテリアルの研究も行っています。研究活動を通して、科学に対する“理論的思考”に加え、考えを的確に人に伝える“プレゼンテーション能力”を有し、自身の哲学を理解し磨き続ける“人を育てる教育”を行なっている。卒業後は世界で活躍する技術者・研究者を目指してもらいたい。村井一喜助教2015年に名古屋工業大学大学院工学研究科物質工学専攻を修了し、博士(工学)を取得。日本学術振興会特別研究員DC2、東京理科大学基礎工学部材料工学科嘱託助教を経て、2018年より現職。質量の95%が水で構成されるソフトマテリアル(ハイドロゲル)サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm生体機能に倣う材料の構造制御技術の理解に基づく科学技術の発展は、次世代の環境調和型製造プロセスにより生体系での優れた機能性材料であるバイオミネラルや生体組織をも超える“究極の機能性材料”として、次世代の安心・安全社会の形成に寄与すると考えられます。有機成分と無機成分が作り出すナノレベルのファイバー構造サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cmタンパク質のモデル分子であるペプチドを合成しているところ43教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科分子組織体を創り、理解し、使う両親媒性のブロックポリマーやグラフトポリマーは、自己組織化することにより、ミセル、シリンダー、チューブ、ディスク、ベシクルなど多彩な集合体を形成することが知られています。一方で、これらの集合体を自在に作り分けることや、大きさを制御することは容易ではありません。そこで、私たちは、様々なポリマーを合成・設計し、どのように自己組織化するのかをX線や中性子などの量子ビームや電子顕微鏡などを用いて明らかにして、分子組織体の構造やサイズを自在に制御する手法の開発に取り組んでいます。同時に、分子が組織化することで発現する機能についても調べています。さらに、その分子組織体を用いてDDSナノファクトリー、人工細胞材料、人工分子チャネルなどのナノバイオ材料・システムへの展開も行っています。両親媒性ブロックポリマーが形成する細胞サイズの高分子ベシクル人工分子チャネルとして機能する高分子を組み込んだリポソームの模式図これまでに、私たちが開発した高分子ベシクルを用いて、くすりを疾患部位で産生するナノデバイスの構築に成功しています。さらに、性能を高めることにより、高い治療効果かつ副作用を低減できる医療技術につながると考えています。研究活動を通して、実験手法、論理的な思考力やプレゼンテーション能力を身に着けてもらうだけでなく、他の人には無い自分独自の強みを築けるような教育を心がけています。社会で活躍できる人材になってもらいたいと思います。西村智貴助教英国Bath大学博士研究員、京都大学大学院工学研究科特定助教を経て、2020年より現職。専門分野は、自己組織化高分子、高分子ベシクルとバイオマテリアル応用.

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