繊維学部研究紹介
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科環境に配慮した機能性高分子ナノ粒子を開発。ミクロな世界から機能をデザインする。鈴木大介准教授慶応義塾大学で博士(工学)の学位を取得後、ジョージア工科大学や東京大学での研究員、信州大学国際若手研究者育成拠点助教を経て、2013年より現職。専門は、高分子科学、コロイド科学、高分子ゲル微粒子。肉眼では識別できませんが、溶媒中に高分子ナノ微粒子が安定に分散しています。食品や化粧品などに応用されています。教員紹介寺本彰准教授民間乳業会社研究員、信州大学繊維学部教務員、助手等を経て、2008年より現職。研究分野は細胞培養用基材の開発、培養細胞の機能評価など。研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科天然素材を用いた高機能材料の開発39鈴木研究室では、環境に配慮した高分子材料を扱っています。特に、有機溶媒を使用しないプロセスで、安心・安全の中、持続的に発展できる高分子微粒子を開発しています。高分子微粒子一粒は、肉眼では確認できませんが、塗料やインキ、化粧品、または先端材料の成分として、多くの製品に配合されており、私たちの生活を支えています。私たちのグループは、独自のコンセプトによる「合成」、最先端解析技術を駆使した「評価」、未来に役立つ材料開発である「応用」全てを行える、機能性高分子微粒子の総合研究所を目指し、研究を展開しています。鈴木研究室では、誰も作ったことのない、機能性高分子微粒子の開発を行っています。流行を追うのではなく、10年、20年後に世の中を変える材料を生み出すことが大切です。生活を豊かにする工業製品のみでなく、高齢化社会に備えた、次世代医療製品にも繋がるナノマテリアルの創造を目指し、世界中の研究者と討論を重ね、新しい学問体系の構築を目指しています。学生達には、自分の言葉で意見を述べ、世界で活躍できる人材になることを期待します。卒業生は、大学などの研究機関や、高分子材料を扱う幅広い企業(例:食品、化粧品、塗料、医薬品など)へ就職し、活躍しています。高分子微粒子は顕微鏡によりその構造を確認できます。合成技術を駆使することで表面や内部の構造を制御する事が可能です。我々の社会は石油化学工業によって作り出された高分子材料などを用いて成り立っています。しかし石油資源は無尽蔵に生まれるものではなく有限であり、それを代替えすることのできる資源の活用が重要な課題になっています。植物由来のセルロース、カニ殻由来のキチンなどの天然多糖類はバイオマスと呼ばれ最も豊富に存在している高分子材料です。当研究室ではこれらの天然高分子を素材とし、刺激応答性などの機能性を付与することにより新しい材料の開発を試みています。天然高分子から高機能材料を開発することにより環境にも優しい循環型のエコマテリアルとしての応用が期待されます。また,私たちの体はタンパク質や多糖類等の生体高分子から形成されています。天然由来高分子から作り出される材料は生体親和性にも優れ,バイオ,メディカル分野での応用展開も期待されます。卒業生の大半は大学院修士課程に進学しています。修了後の進路としては、様々な業種へ進んでいますが、主として材料メーカー、化学メーカーなどへ就職し活躍しています。バクテリアセルロース(BC)とPNIPAMの複合ゲル。複合化することにより強靭な刺激応答性のゲルとなる。天然多糖類であるキトサンを用いた熱可逆応答性のゲル化。

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