繊維学部研究紹介
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教員紹介現在市販されている太陽電池はほとんどシリコンという材料から作られています。しかし高純度の結晶で複雑な構造をつくるためには大きなエネルギーが必要です。一方酸化チタン(日焼け止めクリームなど)、ヨウ素(消毒液など)、色素(ブルーベリーとか)を混ぜて塗るだけでも太陽電池がつくれます。そしてそんな材料で作った太陽電池のエネルギー変換効率は高く、さらなる効率向上を目指して世界中で多くの大学と企業が研究開発を行っています。森研究室でも高効率太陽電池の開発と、電子移動メカニズムの解明に取り組んでいます。自然エネルギーの代表である太陽光。太陽光から電気エネルギーに変換する太陽電池の普及には製造コストと材料コストを下げつつ、高い変換効率を達成しなければなりません。色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池はそんな低コスト高効率次世代太陽電池として期待されています。また電子移動メカニズムの解明を通して、安価な材料を用いた新しい高性能デバイスが設計できるようになると考えられます。材料メーカー、デバイスメーカー、電気メーカーなどに就職しています。太陽電池に限定されることなく、本質的な視点から材料やデバイスの設計と開発ができる人材となることを期待しています。森正悟教授ノキア・ジャパン株式会社や信州大学繊維学部助教、准教授を経て、2018年より現職。色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池、半導体や界面での電子移動が研究分野。さまざまな色素の溶液とその色素から作製した色素増感太陽電池。デザインの良い太陽電池の作製も可能大掛かりな装置が無くても太陽電池の作製が可能研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科身近な材料を混ぜて塗ってみたら高効率太陽電池!36教員紹介渡辺真志教授今は高分子材料および化学工学に関する研究をしておりますが、自分の専門分野については、特に限定はしておりません。研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科規則的な表面微細構造の簡単な作製方法できるだけ簡単な方法で、精密に制御された表面微細構造を作るにはどうしたらよいか、ということを考えています。図1はその例の一つで、シリコーンゴムを丸めて、濃硫酸と濃硝酸の混合物に浸すだけで規則的なシワを作ることができました。また、ゴム板上に形成させた金属薄膜にシワをつけて、交互に噛み合ったくし形のシワを発生させることもできました(図2)。最近は、このような表面微細構造を使って微細な物を整然と並べたいとも思っており、微小な針状結晶を方向、間隔、長さ、太さをある程度揃えて並べることができています。200 µm(図1)酸処理で形成されたシワ200 µm(図2)金属薄膜のくし形のシワ表面微細構造に起因する機能は、撥水性や構造色など色々ありますが、最近特に興味を持っていることは、このような微細構造に液滴を溜めることです。規則的な表面微細構造を利用すれば液滴の体積や配置を正確に制御できますので、面白い用途は色々あるように思っています。卒業研究の内容が卒業後の仕事に直接役立つとは考えていません。世の中には面白いことが沢山あるので、卒業研究の内容にこだわらず、自分が面白いと思ったことに自由に挑戦して欲しいと思っています。

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