繊維学部研究紹介
29/63

サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmチタン酸ナトリウムナノワイヤの電子顕微鏡像サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm酸化セリウムナノロッドの電子顕微鏡像サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科社会に役立つ新しい材料を求めて未来を拓く機能性ナノ材料浅尾研究室では材料科学と物質変換学の融合をテーマに、エネルギー問題や環境問題に対応できる新しい機能性材料の開発を目指して研究を行っています。特に最近は、脱合金化手法を取り入れた金属酸化物ナノ材料の新しい作製法の開発に成功しました。この新しい方法を用いることにより、極めて微細な構造から成る様々なナノワイヤやナノロッドを簡単に作ることができるようになりました。更に、これらナノ材料は特異な微細構造を持つことから、自動車排ガスの浄化助触媒や光触媒、イオン吸着機能など様々な特性を発現することが明らかとなり、基礎から応用まで幅の広い研究を行っています。卒業生の多くは大学院に進学し、主に化学関連の会社で研究者として大いに活躍しています。浅尾直樹教授東北大学原子分子材料科学高等研究機構から2016年に信州大学繊維学部教授に着任。主な研究分野は材料科学で、有機化学や触媒化学、金属工学を融合させた新しい機能性材料の創出を目指している。サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm金属酸化物は様々な特性を持つことから、色々な分野で広く利用されている重要な材料です。またそれらをナノ材料化すると、バルクとは異なる新たな機能性を引き出すことができます。ナノ材料化には既に様々な方法が知られていますが、既存の方法にとらわれない新たな作製法を開発してサイズや形態を制御することで、社会に役立つ優れた機能性材料の開発を研究していきたいと考えています。20 nmナノ多孔質金触媒を用いた物質変換反応28教員紹介荒木研究室では大きく2つのテーマで研究を進めています。1つ目は「ポリロタキサン」と呼ばれるネックレス状の超分子を作り、様々な化学修飾を施して、ゲル・繊維・フィルムなどの機能性材料を作ろうとしています。2つ目は、木材や植物から取れる「セルロース」やカニ・エビの殻に含まれる「キチン」の微結晶粒子を使った実験です。これらの微結晶は天然由来でナノサイズ、さらに1本の弾性率や強度は鋼鉄よりも強く、さらに生分解性がある魅力的な材料で、フィルムや繊維の補強材料として応用を進めています。ポリロタキサンと、セルロース・キチンの微結晶。どちらも形や性質が興味深く、大学の学術的な研究対象としても興味深いのですが、将来様々なところで役に立つ可能性も秘めています。ポリロタキサンを混ぜた塗装は、傷がつきにくい携帯電話の塗装として既に実用化されています。また、セルロース微結晶を補強材料として使うための特許出願に向けた研究も進められています。当研究室で自分の興味深いテーマを追求しながら発見した新しい材料が、社会で広く使われるようになることでしょう。設立したばかりの研究室でまだ卒業生が少ないですが、化学メーカー・材料メーカーを中心に先輩方が就職しています。在学中の研究のみにとらわれるのではなく、理系の研究職として社会に出たときに、何を求められるかを身につけて修了してもらうよう指導しています。荒木潤教授科学技術振興特任研究員、JST-CREST研究員、アドバンスト・ソフトマテリアルズ社技術顧問、2007年信州大学国際若手研究者育成拠点助教、准教授を経て、2021年より現職。専門は超分子科学・多糖類科学。ポリロタキサンは幅1ナノメートルの“ナノサイズネックレス分子”フィルムに成型することもでき、携帯電話の外装にも使われた左は植物中のセルロースウィスカー。ナノサイズのファイバーは鋼鉄よりも強い弾性率を持つ。さらに偏光板の間で光る液晶にもなる研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ネックレス状の「超分子」とナノウィスカー(ナノ繊維)補強材料

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る