繊維学部研究紹介
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教員紹介「『生きもの』と『モノ』はどこが違うのか」とは超難問だが、直感的にはわかっている。それは本当だろうか?我々は路傍の石を無情に蹴り上げ、転んだ隣人に慈悲をもって手を差し伸べる。それは本当か?当研究室では、動物の本能行動を観察するとき、どうしても見えてしまう余計な行動がどのような意義をもつのかを、実験を通して探ることで、直感的といわれる「本能=適応的、余計=非適応的」という見取り図を書き換える努力をしています。その努力は、「バイオ(ロジー)=エンジニアリング」という見取り図を作り、バイオエンジニアリングを縁の下から支えます。10年前の研究対象はダンゴムシだけでしたが、今では深海数百メートルにすむオオグソクムシの心理学や、西表島にすむミナミコメツキガニとロボットの社会形成などに取り組んでいます。おかげで、学会活動も、動物行動学だけではなく、認知科学やロボット学へと広がっています。最近では、心理学の催しで話題提供を求められ緊張しましたが、ビジネス雑誌のインタビューを受けたときは、掲載して大丈夫?と思いました。研究室立上げ→地元家具店のKR、家督継承のKT、国際学術誌第1著者→俳優のMT、イベント会社→ママチャリ日本1周のMJ、卒研突撃アンケート→結婚企画のKM、実験室建設→国防?企業のI、台風の西表島単身上陸→一流教育会社内定のUN森山徹准教授キーワード:ダンゴムシ、オオグソクムシ、ミナミコメツキガニ、動物の心、モノの心、自律性、創発性、わたくし性、比較認知科学、動物心理学、動物行動学。研究室のホームページは「森山徹」で検索。オカダンゴムシの研究著書:森山徹,ダンゴムシに心はあるのか,PHP研究所,2011.オオグソクムシの研究論文:MatsuiT,MoriyamaT,KatoR,ZoologicalScience,受理.研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース動物の実験で「バイオ=エンジニアリング」を考える教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース何にでも化ける曲面形状ロボットの実現を目指してもし何にでも化けられるロボットが実現するとしたら、それはどんな機能を持つロボットだと思いますか?微小なロボットが集合して構成されるロボット、構成する材質が液体と固体間で相転移するロボット等様々あると思いますが、私は物体の表層が曲面であることから曲面の形をしたロボットだと考えています。しかしながら、曲面形状のロボットの研究は始まったばかりで、何にでも化けられるロボットとは程遠いものです。その中で私は曲面を記述する数学、CGの技術や生物学から学び、新たな曲面形状ロボットのコンセプトや制御理論を提案しています。また、曲面形状ロボットの他に曲線形状のロボットについても新たな切り口で制御の理論を構築できないか研究しています。ロボティクス、メカトロニクスといった研究に必要な知識や技術はもちろんのこと、問題解決力、発表の仕方など卒業後優れた人材と認定される能力を獲得できるよう指導します。岩本憲泰助教九州大学大学院工学府を修了後、九州大学工学研究院学術研究員を経て、2017年より現職。ロボティクス、メカトロニクスを中心として曲線形状・曲面形状のロボットの研究を主に取り組んでいます。表と裏で半径を個別に制御可能な円錐台アクチュエータとアクチュエータを集合させた曲面を表現するメッシュ型ロボット曲面形状ロボットに対して参照する領域を用意し、参照領域とロボット間を等角写像により結びづけることで座標系を設定する手法。サイズW3cm×H2。65cm配置位置横0。5cm、縦7。42cm大変形可能な曲面形状ロボットはその自由度の大きさから、実現すれば計り知れない需要があると期待されます。例えば環境に適応して変形するロボットやVR向けデバイスといった用途が挙げられます。また、曲面形状ロボットは内側に空間を作ることができ、この空間の形を制御して利用するという考え方もできます。本研究室では、この機能を内視鏡手術の術野確保に利用しようと考えています。26

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