繊維学部研究紹介
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教員紹介生活に最も身近な衣服とテキスタイルを中心に「人の心を動かす価値」の解明を行っています。感性工学・ファッション工学の観点から、衣服の設計・評価方法を研究することにより、製品に対する評価や好みを決定する要因を探ったり、新しい価値を持つ製品の開発をしています。人の感性を科学することによって、新製品や新規ビジネスのきっかけとなる研究や、ものづくりの川上から川下までを考慮したものの設計・生産システムを研究しています。また、製品や設計の国際比較を通じて、設計・生産・市場のグローバル化に対応するための産業のありかたについても研究を行っています。繊維から糸・糸から布・布から衣服までの一貫した流れをコンピュータ上で設計・シミュレーションすることができるようになると、消費者のニーズに合った衣服を効率的に生産することが可能になります。将来は衣服だけでなくカーシートや工業用繊維製品など、多分野への応用が期待されます。また、開発中の自動立体裁断システムを用いることで、より手軽で安価にオーダーメイドの衣服の製作が可能であり、将来は個人対応のシステムが普及していくでしょう。メーカーの商品企画や開発担当の技術者、教育機関、製品試験機関、研究所等のほか、感性工学の専門家として、情報メディア、家電、住宅機器等で活躍しています。高寺政行教授信州大学繊維学部助手、講師、助教授を経て、2006年より現職。主な研究分野はテキスタイル、アパレルの設計・評価とファッションにおける感性工学の応用。研究から広がる未来卒業後の未来像「繊維から糸・糸から布へ」設計やデザインをコンピュータ上で上段:実物下段:シミュレーション三次元計測を用いた衣服設計と衣服パターンと物性を考慮した衣服シミュレーション見た目・着心地・風合いの評価方法の開発先進繊維・感性工学科感性工学コース感性に科学的なアプローチあなたの好みの衣服には理由がある教員紹介ものづくりを行ううえで、材料は欠かせません。これまでの材料の主役は金属材料やセラミックス材料など固いものが主流でした、これらに変わって、今後は高分子などのやわらかい材料がますます重要性を増していくことでしょう。高分子材料は,炭素を主成分として、これに窒素や水素などが結合してできる鎖状の長い分子であり、分子の形態がさまざまに変化することから、様々な性質を示します。また、生体に対して無害であることから、工業製品はもちろんのこと、生医学材料としても大きな可能性を持った材料であるということができます。高分子材料には、プラスチックのごみ問題という暗いイメージが付きまとってきたのも事実です。そこで現在は、多糖類など生物から取れる高分子材料の研究が盛んに行われています。このような研究により、将来は、環境にやさしい高分子材料が数多く生まれてくることが期待されています。また、一種類の高分子だけでは、十分な性質が発揮できない場合、複数の高分子材料を混ぜて(ブレンドして)新たな材料を開発するポリマーブレンド材料の研究も盛んに行われています。高橋研究室でもこのような研究を行って将来の高分子材料の発展に寄与したいと考えています。卒業生の多くは、化学系の企業に就職し、活躍しています。化学系の企業のほとんどは高分子にかかわっており、高分子を研究した学生に対する企業のニーズは高いといえます。こうした企業の場合、学部卒よりも大学院卒を採用する傾向があり、卒業後は大学院へ進学するのが望ましいようです。高橋正人教授1986年工学博士取得、その後東京都立大学(現在の首都大学東京)を経て、2018年より現職。研究分野は高分子材料の構造制御(天然物多糖類の構造形成とその制御、ポリマーブレンドの構造制御、両親媒性高分子の構造形成とその制御など)。研究から広がる未来卒業後の未来像カラギナンゲル(左)とカルシウムアルギン酸ゲル(右)。これらはいずれも多糖類であり、生体に対して無害である。ゲルは創傷被覆剤などとして生医学方面に利用できる可能性があるCaAlg gelCagtype1ポリマーブレンドの海-島構造(左)と共連続構造(右)、構造を制御することで様々な物性を持った材料を実現できる可能性がある先進繊維・感性工学科感性工学コース21世紀はやわらかい材料の時代ですー高分子材料の未来の可能性を追求ー14

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