05研究所軽井沢オフィス」などの教育拠点が存在していることを活かし、文理の協働によって社会的課題に立ち向かうことができる新しい学問領域の創設に取り組みます。例えば、AIやインフォマティクスをベースにした「決断科学」や「超克科学」等に注目が集まる中、トランスディシプリナリー(超学際的)な領域、メタサイエンス分野への船出の準備も進めたいと思います。―信大の教育の質的側面についてはいかがですか? 学問の思考様式をきっちり身に着けた人は、正解のない混沌とした状況に対しても適切に対応することができるはずです。この考えに基づいて、全学教育機構の機能強化・充実を図り、高大接続教育(基礎教育)と教養教育(共通教育)をしっかり行います。基礎学力と社会人基礎力を体得した学生は、実社会への適応力も高く、社会で重用されると信じています。 また、教育の質保証システムを充実させ、学生の多様な学びを保証する「学びの履歴書」を発行し、学習成果の「見える化」、社会に対する教育の質保証を進めます。既に、高等教育研究センターの先生方には「SSP(Student Success Policy)」と教育の質保証を組織として監視、監督するためのガイドラインASP(Assessment Policy)の制度設計をお願いしたところです。 幸いにも本学には教育学部があるので、教育学部附属学校園を活用し、教職学協働の理念に基づき、「人が人を育てる」という“途切れない学びの場(アクティブトランジッション)”形成のロールモデルを創ります。 その他にも、グローバル人材の育成のためのOnline留学の充実や、外国人教職員の限定公募による外国人就業比率の計画的引上げ、リカレント教育推進のための新しい学生層の確保や新しい学びの場の創出などを進めます。その際に、これらを通じて新規に産み出される価値については、担当した教員・職員・学生に応分の対価が支払われるようにします。 また、リモート教育にクロスリアリティ技術(VR、AR、MR、SR等)の積極的導入など、ICT活用教育による、より質の高い教育手法の創造支援や、そのための本学のネットワーク環境の見直しと拡充を進めます。 こうしたリモート教育の拡大・定着によって、教育研究のグローバル化が一挙に進むことは間違いなく、国内/国外の大学とのダブルディグリー(複数学位制度)も進めます。学生の力も活用しながら、大学の境を超えて互いに学び合うことができる小規模の「ラーニング・コモンズ」を設置し、学生教育へのコミットメントの拡充や定年などでリタイアされた教員、地域中核人材プログラムで育成したスタッフ、地域住民などの学生教育への積極的な関与などを進め、柔軟な教育形態を創出して行きたいと思います。[特集] President Interviewニューノーマルの時代にふさわしい信大フィロソフィー “inGEAR”独創的、進取的かつ能動的な地方創生研究においてはトップピークの延伸とクロスブリードの推進―信州大学の特色の一つである、独創的研究の発展ビジョンを教えて下さい。 先鋭材料、ファイバー工学、バイオ、細胞医療、遺伝子医学、山岳科学、次世代航空宇宙システム、社会基盤システムなどの特色ある研究は本学の宝です。アクア・イノベーション拠点、地域イノベーション・エコシステム及びOPERAに続く大型研究が生まれる環境を整えます。 例えば、意欲ある学生を確保・育成し、生活費のことを心配せずに研究に専念できる制度(ARA:Advanced Research Assistant)の拡充や、教員と伴走することができるスキルを保有した専門技術員(リサーチ・フェロー、テクニシャン等)の導入や、特色ある研究分野の先鋭化と世界トップレベルの研究の展開のためのバイアウト制度(直接経費によって研究者自身の待遇改善などを賄う制度)の整備なども進めるつもりです。こうして、社会実装を念頭に置いた研究、社会変革を牽引できる研究、知財の活用で稼げる研究を戦略的にサポートして行きます。 学問分野のすそ野の広がりとX-Breed(クロスブリード)の推進は、信大の研究の大きな特色であり、引き続き、科研費全件アドバイザー制度や研究力強化・研究支援制度、PoCファンドの仕組み等、研究力向上に資する工夫を進めて行きます。 特に電子ジャーナルの利用は研究力の維持向上に必須と考えていますので、オープンアクセスジャーナルへの投稿費用の援助についても前向きに考えて行くつもりです。人文系の論文や資料の電子化・リポジトリ化を支援するなど固有の学問分野の維持発展や、基盤研究支援センターの機能強化などにも配慮しつつ、異分野融合を前に進めたいと思っています。「地域貢献度」と「環境にやさしい」ランキングNo.1のブランドを確たるものに―「地域貢献」「環境にやさしい」は今や、全国に通用する信大ブランドの重要な要
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