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04二つがあると考えてきました。どちらがより大きな価値を産み出すことができるか、という議論は別の機会に譲るとして、まずは両者のハイブリッドを目指したいと思います。 また、これからの大学では情報化、デジタル化、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)化が一層進むことは間違いありません。これにも積極的に取り組み、新たな知の創出につながるように「舵取り」をしっかりして行く所存です。 加えて、大学が中心となって多様な学問分野、業界、世代、そして地域社会に分散している「知」を集約、結集すれば、そのシナジー効果によってとてつもなく大きな新しい価値を産み出すことが可能となります。別の言い方をすれば、これからの大学は「知」の創造だけでなく、社会と深く連携して「知」から派生する新しい価値の共有・定着を進める役割を果たすことが期待されます。これにも積極的、能動的に応えて行きたいと考えます。 信州大学は、多様で卓越した「知」を産み出す基盤を強化し、地域に根差しながらも特色ある分野で世界をリードする教育研究を展開します。同時に、イノベーションの創出に向けて人材力や資金改革の強化を図り、また、ステークホルダーの皆様との対話と協働を推進して、地域社会への貢献を前進させて行きます。―そのためには、「信大フィロソフィー」を学生にも理解いただき、価値創造の意識を共有するプロセスが重要だと思いますが、その点の具体的プランを聞かせて下さい。 学生が信大で学び暮らすうちに、知らず知らずのうちに「信大フィロソフィー」を身に着け、自分のものにしていける、としてエンロールメント・マネジメントに力を入れて行きます。 エンロールメント・マネジメントとは、米国の大学などで開発され発展してきた大学経営の手法の一つです。ひとことで言ってしまえば、学生一人一人について、入学前から大学で学ぶ間、さらには卒業後も、「何時、どのようなことを身に着けてもらうか」(内容)を、身に着けてもらう手法(方法)と共に明確化し、伴走型サポートでそれを実施していく「人が人を育てる」取り組み方法です。 新体制の下ではエンロールメント・マネジメント担当の副学長を置き、信大モデルを構築しながら重点的に注力していきます。 時折、このエンロールメント・マネジメントについて、知識や技能の習得の面からのみ捉えている方も見かけますが、決してそうではありません。学生同士の交わり、教職員との交わり、地元住民や大学に関係する様々な方々との交流の中で、所謂「信大DNA」を引き継いでもらい、卒業後も長く続く信大への愛着と誇りを持ってもらうということも含まれてきます。「信大フィロソフィー」の共有・体得も、もちろんエンロールメント・マネジメントでも扱うテーマになってくるわけです。 学生・教職員にとどまらず、信州大学に何らかの関わり合いを持った人々の間に「信大フィロソフィー」を拡げ、信大に愛着や誇り、憧れを持っていただけるような様々な取り組みを前に進めたいと考えています。 tionable Regional revitalization能動的な地方創生)エンロールメント・マネジメントの充実で、自然に「信大フィロソフィー」が身につくような大学へ「人が人を育てる」という“途切れない学びの場”をつくりたい―大学の一つ目の柱である「教育」の面では、どのような改革の取り組みをお考えでしょうか? 今述べた、エンロールメント・マネジメントや「信大フィロソフィー」の定着化の話と重なってきますが、教育というものは「人が人を育てる」ものだということをしっかり認識しておく必要があります。未来の信大生を含む信大に関わる全てのステークホルダーに、「社会の公器」としての本学の価値を再認識していただき、心の底からの信頼と愛着を感じてもらえるようになれば、何ものにも代えがたい大きな意味が生まれてくるでしょう。 人間の尊厳を大切にし、他人のことに想いを馳せ、地球のこと、人類の未来のことを慮ることのできる心を育てたい。そして、地域の豊かさを創造できる人材を育成したい。このための「人が人を育てる」という“途切れない学びの場”をつくることが教育上の理念目標です。そのために、信大の「教育」に学生や職員が関与する機会を大幅に増やします。 教育体系としては、人文学部、教育学部、経法学部、理学部、医学部、工学部、農学部、繊維学部の8つの学部と1年次教育を担う全学教育機構の体制を大切にし、しっかり発展させていきます。 その上で、信州大学をサスティナブルな存在にするために、「南信州・飯田サテライトキャンパス(エス・バード)」や「社会基盤inGEAR

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