11館内あちこちに日本真綿協会から寄贈された真綿をつかったアート作品が展示してあり、美術館としても楽しめる2階からM2階・1階を見下せる豪快な吹き抜けはまさにコクーンの内部、ぐるりと配置されたスロープを辿って2階に行くことができる外観でまず目を引くのは、入口上部に配されたデザイン窓。繭を3つ積み重ねた形をモチーフにしており、施設を象徴する意匠となっています。屋根中央に突き出しているのは、かつて蚕室に設けられた「煙出し窓」がモチーフです。外壁には建物内部のグレーのコンクリート外壁は、光が当たったシルク色を連想させている。入口上部に配されたデザイン窓は、繭を3つ積み重ねた形がモチーフ、壁面のライン角度も超独特この施設独特の棟持柱形状。土台部は四角形なのに、上部にいくほど八角形になっていく、なんとも不思議な形状繊維学部「真綿・蚕糸館」新施設「真綿・蚕糸館」の設計に込めた意味と思いとは…信州大学工学部建築学科 土本俊和教授、羽藤広輔准教授に聞く。2021年6月、信州大学繊維学部(上田市)のキャンパス内に、「真綿・蚕糸館」が完成しました。「真綿・蚕糸館」は、繊維学部と包括連携協定を結ぶ一般財団法人日本真綿協会から「真綿と蚕糸関係の恒久的展示施設の設置を」との申し出を受け、寄贈された施設です。繭に見立てた螺旋状の回廊。紡がれた糸を■るように建物を巡る繭の包皮のようなグレーのコンクリート外壁、蚕から紡がれた糸を辿るように、内壁に沿ってつくられた螺旋状のスロープ、そして中央には核となる、蚕のさなぎをイメージした木造の室内空間―、「真綿・蚕糸館」のディティールには、至る所に繭や蚕室を彷彿とさせる意匠が施されています。設計を手掛けた信州大学工学部建築学科の土本俊和教授と羽藤広輔准教授に、意匠に込めた意味と思いを聞きました。(文・柳澤 愛由)※真綿とは…繭を煮て、引き伸ばしてつくる綿(わた)のこと。古くから布団や防寒着の中に詰め込む素材として利用されてきた。繊維学部蚕糸研究×工学部建築学科真綿の上質アートと先進アーキテクトで表現するこだわりの異空間。FlossSilkVisualArt&Architects
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