06 三井住友信託銀行は2018年12月、国立大学法人信州大学の認定ベンチャーである精密林業計測株式会社に出資し、2020年8月には、本邦初の商事信託として、岡山県西粟倉村に個人の方が所有する森林を信託受託しました。三井住友信託銀行は所有者の方に代わって林業事業体への経営の委託、収入の管理などを行い、間伐収益などによる配当を行っていきます。森林信託は、林業再生や地域の活性化を進める「信託ならでは」のSDGsへの取り組みです。 また、三井住友信託銀行は、森林の循環利用により国内林業の再生に貢献するESG投資としての観点も勘案し、信州大学との産学連携により林業に関わる技術革新をサポートしています。スマート精密林業への取り組み-森林信託事業-PARTNERS INFO. 都市部に居住しつつ西粟倉村に森林を所有する「村外地主」の存在や、所有者不明森林の発生などに対応し、施業地の集約化や施業の効率化を進めるため、森林信託のスキームを開発しました。 森林信託においては、三井住友信託銀行が受託者として、森林所有者(委託者)から森林の信託を受け、森林管理専門会社への計画策定や施業の委託、事業収入の管理、委託者である森林所有者への配当など、森林経営管理業務全般を一括して受託します。森林信託事業 三井住友信託銀行では、林業のさらなる生産性向上のため、信州大学などと連携し、ドローンやICTを活用したスマート精密林業の実現を支援しています。また、林業再生に向け、川上だけでなく、川中、川下のそれぞれで効率化・高付加価値化を進めるため、関係者と連携し、サプライチェーン全体の活性化にも取り組んでいます。スマート精密林業への取り組みT SIONTRYNIVERSITY 精密林業計測株式会社は2017年5月に信州大学農学部加藤教授が発起人として、林業のスマート化で林業の成長産業化の実現へ貢献したい志を持つメンバーで起業した信州大学発ベンチャー企業です。ドローンやレーザーによるリモートセンシングで安全かつ効率的に森林を計測し、信州大学で開発された森林資源解析に関係する特許技術を使用してデータ解析することで、林業の生産性や安全性、情報精度の向上に役立つ情報を提供しています。大学発ベンチャーの強みを生かし、将来スマート林業の担い手となる学生の育成にも取り組んでいます。森林を通じて社会への貢献を目指す信州大学発ベンチャー 当社では森林分野でいち早くドローンへ搭載するレーザーセンサーを導入し、針葉樹を単木レベルでデータ解析するサービスを中国地方から東北地方まで日本全国で展開しています。森林情報インフラの基本である樹種、樹高、胸高直径、材積等の資源情報を単木ごとにデータ化し提供することで、伐採前の森林資源情報の把握や森林経営計画の立案で活用されています。さらに、地形情報を提供することで路網設計や素材生産作業にも活用されています。 林業現場で容易に導入可能なドローンによる空撮写真を使用した森林資源情報提供サービスも展開しています。これまで培ってきたドローン空撮ノウハウを現場へ還元することを目的とし、林業事業体や自治体の方々を対象とした研修会を開催することでスマート林業の人材育成にも取り組んでいます。針葉樹の計測と解析 人々の生活の中で燃料などに利用されていた広葉樹林が、エネルギー革命によって使用されることがなくなり、放置されるようになりました。その結果、現在では高齢級な広葉樹林が全国に分布しています。ナラやケヤキなどの国産広葉樹材は家具材として人気が高いが、植生区域が不確定であり安定供給できないため、外国産広葉樹材が利用されており、国内の豊富な広葉樹資源が十分に生かされていない現状があります。 当社では平成31年度から長野県内で人工衛星画像やドローンによる計測データを利用して樹種や材積などの広葉樹資源情報を提供するサービスを開始しています。豊富な広葉樹林を有する岐阜県飛騨市とも連携し、持続可能な広葉樹林業の実現を目指しています。広葉樹の計測と解析空撮ドローンの林業現場への普及ドローンを使ったレーザーセンシングによる精密単木解析信州大学発ベンチャー認定企業
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