2021理学部研究紹介
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26研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像生物学コース理学科理学科生物学コース毎週開催の研究室セミナーは大学院生・卒論生が主体的に運営。数時間にも及ぶ議論も日常的。熱論の末に新規発見される成果も多い。国内外の雄大な自然に入り込んでのフィールドワークから実験室内での緻密な遺伝子解析まで、「マクロ・ミクロ生物学」を共に実践。研究活動を通して研ぎすまされる理学的(論理的)思考力は、どのような世界においても基盤となり得る強靭なものです。研究を発展させながら研究者の道へ進む卒業生、中学・高校の教員や博物館の学芸員として科学の魅力を伝える卒業生、企業や行政で活躍する卒業生たちがいます。筑波大学生物科学系、科学技術庁および日本学術振興会の科学技術特別研究員(生物資源研究所)を経て、2004年に信州大学理学部助手、2012年准教授、2017年より教授。専門は、系統進化・系統発生学、および分子系統地理学。東城 幸治 教授系統進化学研究室東城研究室では、系統進化の鍵を握る生物種群を対象に、系統進化・系統発生学的研究をしています。進化史の追究は過去を紐解くものですが、過去を知らずして未来を切り拓くことはできません。過去の進化史や生物多様性が創出される機構を科学的にきちんと理解することはとても大切なことです。私たち人類が生物界において、また、生態系内においてどのような存在であるのか、これらの論考を通して「自然の理」を理解することは、将来にわたって人類が幸福に暮らしてゆくための大きな礎となるはずです。東城研究室では、系統進化学的に重要な位置づけにある生物種群(鍵分類群)を対象に、その系統進化や系統発生のプロセスを追究しています。生物界最大の種数を誇る昆虫類を中心に、多様な生物種群に注目しています。対象は現代を生きる生物種群ですが、その形態や発生プロセスには過去の進化史が刻み込まれていますし、もちろんDNAにも過去の歴史がしっかりと刻み込まれています。これらの情報を注意深く丁寧に読み解きながら、現在から過去数億年前にまで溯る様々な時間スケールでの進化史を紐解くような、ワクワク感に満ちた研究です。現代を生きる生物種群から紐解く『進化史』と『生物多様性』創出のメカニズム理学科生物学コース試行錯誤を繰り返しながら、研究の立案から調査、実験、そして論理的にデータをまとめる力や知識が身に付きます。卒業後は国家・地方公務員、中学・高校教員、会社員などさまざまです。高木限界北海道大学大学院地球環境科学研究科博士後期課程修了後、信州大学理学部助手、准教授を経て、2016年より現職。主な研究分野は森林群集を中心とした植物生態学。高橋 耕一 教授植物生態学研究室植生に対する気候変動の影響に関する研究は地空間的にもスケールが大きく、いろいろな研究の仕方があると思います。私は実際の更新過程を明らかにしたうえで、予測研究に発展させたいと考えています。私のこれまでの研究に興味をもった国内外の研究者たちとも共同研究しています。中部山岳をおもなフィールドにして調査研究していますが、中部山岳から世界に向けて、植物群集に対する環境変動の影響に関する研究結果を発信できればと思っています。当研究室では、森林群集を中心とした植物生態学の研究を行っています。主な研究テーマは、森林の更新動態、炭素循環、群集構造の形成機構、外来植物、気候変動に対する植物群集の応答などです。標高傾度にそった気象条件の変化に応じて、植生も変化します。そこで標高傾度という自然の実験系を利用して、環境条件に対する植物群集や植物個体の応答に関する研究などをしています。研究テーマに応じて、群集生態学、年輪年代学、生理生態学、分子遺伝学など、さまざまな分野の研究をしています。環境変動に対する      植物群集の応答を調べる野外での蒸散測定亜高山帯針葉樹林土壌からの二酸化炭素の放出量の測定種子の発芽実験高山植物

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