2021理学部研究紹介
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25理学科理学科生物学コース生物学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像恒温室で系統ごとに飼育、受精卵をチェック中。婚姻色で真っ黒になるインドメダカ。卒業生は高校理科教員、一般公務員、また大学院進学(他大学含む)したのち一般企業開発試験部門や環境関連企業への就職など、多岐にわたります。新潟大学大学院自然科学研究科生命システム科学(博士)岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所生殖生物学研究室柴田 直樹 准教授科学とは、本来、私たちが居るのはどのような世界か?私たちヒトとはなんぞや?という問いが根本です。身近に、またある地域に目立たず存在するような小さな生き物の実態を丁寧に調べていくことは、これらの問い、つまりヒトが存在する所の周囲がどのように成り立っているか、さらに、ヒトも生物の一種ですから、我々自身のことを知ることへ繋がると思っています。メダカには遺伝的に一定の性質をもつように作られた系統が複数存在し、これらの系統を用いることで個体差のない再現性のある解析を行うことができます。また東アジアから東南アジアにかけて様々な近縁種が知られ、これらも実験解析に用いることができます。これらの特徴を生かして、性と生殖に関わる事柄を、近縁種に見られる独特の性の分化、人為的な性転換に見られる系統差、メダカ雄の二次性徴である雄で発達する歯の役割(行動や雌との関わり方への影響)、など、細胞レベルから個体レベルまで、様々なテーマで研究しています。メダカで調べる雄と雌:        細胞から行動まで研究室の一コマ。各自が責任を持って個別の研究テーマを追求している。研究室内のディスカッションから新しい研究テーマが生まれることも。サンプリングを行う日本の高山地帯。実験室内外で研究を行うことにより多角的な視点を獲得できる。京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻博士課程修了。2015年より信州大学。研究分野は植物―微生物共生系、および植物二次代謝産物。髙梨 功次郎 准教授分子共生生物学研究室研究を通して培われる論理的思考力や問題発見・解決力、観察力は、あらゆる分野の職業において必要不可欠です。当研究室での経験を活かして、様々な分野で活躍してほしいと思います。過去に起きた、植物の生育域の変化に伴う共生生物の行動を調べることで、未来の気候変化に対する共生系の行動を予測することができます。また、自身が生産する毒に対する自己解毒機構は、医薬品生産の植物工場に応用できるかもしれません。当研究室では主に基礎的な研究を行っていますが、その先にある私たちの生活を常に考えながら研究を進めています。植物の持つ様々な不思議について研究しています。薬草や毒草はなぜ自身が生産する生理活性物質にやられないのか、また、数十万年、数百万年の時間スケールで植物が生育域を変えるとき、その植物と共生している生物はどのように行動するのか、などを山岳地帯などをフィールドにして調べています。植物は動物と異なり発芽した場所から動けません。そのため動物にはない様々な機構を発展させてきました。それらの機構を研究し、植物のもつ不思議のベールを一枚ずつ解明していきたいと考えています。植物の不思議:微生物共生と代謝産物と

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