信大医学部研究紹介2021(日本語)_プレス品質
42/48

40何としても助けたい 最初に診るのは我々だ命を救いたい、これは医師を志す人なら誰しも抱く、根幹となる思いです。救急集中治療医は、まさにこの思いに直結する診療を行う専門家といえるでしょう。救急集中治療の魅力は、重症な患者さんを治療し救命することにありますが、それは病院内の診療だけにとどまりません。病院の外、例えば災害時の対応、交通事故の現場、あるいは日常の場でも救命に直結する診療ができることは、他の診療科にはない大きな強みです。さらに、複数の臓器が同時に障害され各臓器の専門家には対処が困難、このような時には全身管理の可能な我々の出番です。・院外心停止、心原性ショック症例の予後改善・多剤耐性菌による院内感染の制御方法の開発・敗血症性ショックにおける血液浄化療法の効果についての検討最良の研究とは、現在の治療の問題点を把握し解決することで、最終的に新しい治療法の開発につなげることです。必ずしも救命できる人ばかりではありません。現在の治療にどのような問題点があるのか、また、それはどのように解決できるのか、科学的な思考力が必要です。ただ救命するだけでなく、より良い状態で救命する、救命の質を上げていきたいですね。全身管理の専門家はまだ少なく、どの地域、病院も充足していません。しかし、必ず救急集中治療の必要な患者さんはいます。卒業後もずっと、研鑽を続けながら苦しむ人を助け、献身的にその地域を支えています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像救急集中治療医学(教授 今村 浩)救急集中治療医学教室メンバー災害医療チーム(DMAT)フライト・ドクターとドクター・ヘリコプター最適ながん治療の提供と先進医療・研究を推進する医師を目指そう!腫瘍内科は、がん薬物療法に関する診療、研究をしています。がん治療は分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤の登場により著しく進歩しています。標準的治療を学び実践し患者に提供することと同時に、基礎研究や臨床研究を通じて新たな治療法の開発にも探求心を持ち続ける人材が求められます。がんゲノム医療の推進の役割も担っています。若い皆さんの参加を求めています。血液・唾液および組織検体を用いた抗腫瘍効果および予後予測因子の解析。肺がん治療における多施設共同臨床研究。原発不明がん、希少がん、難治がんに対するがんゲノム医療を用いた治療法の探索。がん登録情報を用いた疫学研究の推進とがん対策への提言を目的とした解析・分析。基礎実験であれ患者対象とした臨床研究でも、がん領域には幾多の難解で、解決すべきことが山済みです。またがん治療における標準治療は時代とともに変化しています。その標準治療の変化や新たな確立、また全く新しい治療法の開発に貢献できる人材になれます。多施設共同研究を通じて人脈も形成できます。大学で、がん治療専門医として診療や研究を継続することもできますし、一般の病院でもがん治療の専門医や指導医として一活躍もできます。また、一般病院にいても大学を含めた多施設共同の臨床研究を継続することはできます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像免疫細胞とがん細胞教室員の論文から引用(cell 162, 1229, 2015)腫瘍内科腫瘍内科(教授 小泉知展)(教授 小泉知展)血液・腫瘍内科学

元のページ  ../index.html#42

このブックを見る