信大医学部研究紹介2021(日本語)_プレス品質
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38生命の重さ、感じませんか生殖・内分泌 班生殖・内分泌 班(チーフ:助教 樋口正太郎)(チーフ:助教 樋口正太郎)産科婦人科学健康な子を得たいという夫婦の切実な願いを叶えるための、体外受精(IVF)・胚移植(ET)や顕微授精(ICSI)などの生殖補助医療技術は既に身近な医療技術ですが、奇形率や染色体異常発生率が上昇するといった問題があります。特にICSIの成功率上昇や染色体異常発生率低下には良好な精子の選別が必要ですが、これは医師や胚培養士の経験に基づいて行われており、明確な選別基準が存在しません。そこで、私達は精子頭部の形態を数学的に解析することにより、良好な精子を判別できる可能性を示してきました。また、AYA(Adolescent and Young Adult)世代がんにおける妊孕能温存は重要な課題です。私達は、卵巣腫瘍で体外に摘出された卵巣組織から未成熟卵子を採取し、妊娠・生児を得ることも成功しました。また、不妊の原因として大きな位置を占める、子宮内膜症の発症要因としての遺伝子異常についてもの新たな知見として、家族性地中海熱原因遺伝子との関連を研究しています。・精子頭部形態による良好な精子選別法の確立を目指した研究・AYA世代がんにおける妊孕能温存法の改良・子宮内膜症の新たな発症メカニズムの解明精子頭部形態と精子の性状の関係がはっきりすれば、良好な精子を機械計測で自動選別することが可能になり、精子選別精度の向上と均てん化、およびそれによる染色体異常率の低下が図れます。AYA世代がんでの配偶子温存技術の向上から妊孕能温存に希望を残すことは、がん治療に向かう意欲を高めることにも繋がります。大学病院で医師として研鑽しながら研究を続けることができます。また、海外留学や国内の他の研究機関・医療機関への留学も含め積極的に支援します。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像【生殖・内分泌班】【ICSI】【ICSI中】精子選択は経験的に行われるので良いのか?麻酔科学:苦痛を除いて命を守る“患者さんが眠っている間に手術が終わり、目が覚めた時は痛みもなく元気でいる”これを実現させるのが、手術室での麻酔科医の仕事です。そのためには、痛み・意識などの神経系、呼吸や心臓などの全身循環、感染やストレスに対する免疫反応、絶食中の水分・栄養管理など、統合されたシステムとしての生体の理解と制御が必要です。当教室では、痛みのメカニズムの解明、新規鎮痛薬・鎮痛法の開発、手術中の新たなモニタリング(生体機能評価)、術後痛/術後合併症の予防、免疫応答のメカニズムと神経性調節などの臨床研究・基礎研究に取り組んでいます。・新たな神経モニタリング法の開発・痛みのメカニズムの解明と新規鎮痛薬の開発・鎮痛薬の作用機序・副作用機序の解明・生体侵襲に対する免疫反応と制御・手術に伴う合併症の早期発見と治療を実現する周術期管理チーム・生体監視機器(モニタリング)と手術中の全身管理に関する研究当教室の研究から得られた知見は、痛みの軽減や全身状態の改善に直結するため、患者さんのよりよりアウトカムに強く寄与できます。特に痛みの基礎研究では、痛みのメカニズムの解明を通して、意識の変化や運動麻痺などの副作用がない新しい鎮痛薬を開発しようとしています。さらなる研究のために、国内や海外への留学や研修を行うことができます。また、麻酔蘇生学教室の教室員、教員として、診療や研究を継続することもできます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像麻酔蘇生学(教授 川真田樹人)麻酔蘇生学教室メンバー多くの生体監視機器を用いて行う心臓血管外科麻酔電気生理学的手法を用いた痛みのメカニズムの研究

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