信大医学部研究紹介2021(日本語)_プレス品質
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36将来の眼の治療薬? 「アドレノメデュリン」アドレノメデュリンと呼ばれる血管を拡張させる体内物質があります。最近になりアドレノメデュリンが網膜の病気をよくする可能性がでてきました。私たちはアドレノメデュリンやその作用に必要なRAMPという物質が眼にどのような影響を与えているのか着目しています。ノックアウトマウスと呼ばれるアドレノメデュリンやRAMPが先天的に少ないマウスを用いて、人工的に網膜に血管閉塞や新生血管をレーザー装置を用いて作りその物質で良くなるか、悪くなるかを研究しています。・アドレノメデュリンやRAMPのマウス網膜への影響の研究・眼の血管閉塞や新生血管をレーザーを用いて人工的に起こしたマウスの網膜の研究・糖尿病を持っているマウスの網膜の研究高齢化社会が進むにつれて糖尿病や網膜の血管閉塞症など目の病気が増えることが予想されます。これらの病気にはすでに様々な治療がありますが、もしかすると将来的にこのアドレノメデュリンが治療の1つの選択肢になるかもしれません。卒業後は引き続き当院眼科医局で勤務しながら研究したり、臨床に専念したりします。中には取得した学位を盾に市中病院へ勤務される先生や開業される先生もいます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像眼科学(教授 村田敏規)   とある実験をしたRAMPノックアウトマウスの網膜の展開標本   血管が緑に映っている 細かい血管がとても神秘的だ新生血管を特殊な液でそめて大きくしたものアドレノメデュリンが働くか働かないかで大きさが変化する…レーザー装置生命誕生から終末期に至るまで研究・診療内容の概要産婦人科は周産期、婦人科腫瘍、生殖・内分泌といった、3大専門分野をもち、さらに女性のヘルスケアを加えた主に4分野からなる幅広い学問分野を有します(図1参照)。産科婦人科学は、生命の誕生から終末期に至るまで、女性を生涯にわたってサポートしようという学問体系であり、またこれを臨床現場において実践していく診療分野です。女性特有の臓器である子宮や卵巣は、その生涯において劇的に変化します。妊娠や出産は最も劇的な変化であり、ここでは正常と異常がいつも背中合わせです。このような女性特有の変化および疾患を理解し、上記の産婦人科学問分野に加えて、発生学、病理診断学、画像診断学等を駆使して診療を行っています。医療は急速に進歩しておりますが、未だ解決されない問題が数多く存在します。女性生殖器癌の内、特に子宮内膜癌や卵巣癌は罹患数・死亡数ともに急速に増加しており、発症・進行のメカニズム解明とそれによる新規治療法や予防法の開発は、大きな課題であります。また我が国は周産期医療の進歩により、世界で最も安心して出産できる国になっておりますが、妊娠予後に大きく作用する妊娠高血圧症候群や胎児発育不全の発症メカニズムの解明も不十分なままです。体外受精胚移植など、生殖補助医療の進歩はめざましいものがありますが、染色体異常の発生率の増加など、今後clearすべき課題は山積しております。また、未だに受精卵の着床のメカニズムは十分には解明されていません。私達は、これらの問題点を課題として、各研究班で研究に取り組んでおります。【教授名】塩沢 丹里(シオザワ タンリ)【疾患班名】1.婦人科腫瘍班2.周産期・胎盤班3.生殖・内分泌班産科婦人科学産科婦人科学教授:塩沢丹里教室メンバー

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