信大医学部研究紹介2021(日本語)_プレス品質
34/48

32頭蓋内良性腫瘍は、手術治療のみで完治できる疾患です髄外脳腫瘍 班髄外脳腫瘍 班(チーフ:助教 金谷康平)(チーフ:助教 金谷康平)脳神経外科学当研究室では、頭蓋内良性腫瘍による後遺症を減少させるための外科治療方法の研究と開発をしております。頭蓋内良性腫瘍手術には、定型的な術式がないことが多く、症例それぞれに適した治療戦略が必要です。代表的な良性腫瘍として髄膜腫がありますが、発生部位や腫瘍の性状(硬いか柔らかいか、血管を巻き込んでいるかいないか)などにより手術の難易度が変化します。画像診断などを駆使して、神経症状の悪化なく低侵襲な外科治療方法を行っております。特に、手術機器の開発や新しい手術アプローチ方法の開発に関して精力的に研究しています。・新しい手術方法の開発 ・整容面に優れた開閉頭の開発 ・髄液漏防止のための手術戦略 頭蓋内良性腫瘍は、生命予後は良好であるが、視機能や運動機能などの機能予後は不良なことがある疾患です。良性腫瘍のため、今後も化学療法や放射線治療の効果は期待できず、外科治療が治療第一選択となります。手術治療も、診断機器の発展や器具の改良により、今後も飛躍する分野です。当研究室では、機能予後を改善できる外科治療の開発と外科医の育成に取り組んでいます。良性脳腫瘍といっても種類が多く、組織系により治療方針や手術方法も多岐にわたります。良性脳腫瘍の知識・経験を身につけることは脳神経外科医にとって重要です。また、血管障害治療や頭蓋内悪性腫瘍治療にも応用できる分野です。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像代表的な良性腫瘍である髄膜腫の造影MRI所見。様々な部位に、様々な形態や大きさの髄膜腫が発生する。しばしば重要な神経や血管を巻き込む。前床突起部髄膜腫摘出前前床突起部髄膜腫摘出後最先端の脳神経外科技術を集めて治療に取り組んでいます髄内腫瘍 班髄内腫瘍 班(チーフ:講師 荻原利浩)(チーフ:講師 荻原利浩)脳神経外科学脳腫瘍のうち脳そのものに発生する腫瘍を髄内腫瘍と呼んでいます。髄内腫瘍は、様々な機能を司る脳そのものに浸潤して大きくなる特徴があります。主な治療方法は摘出とそれに引き続く放射線治療、化学療法ですが、治療で最も重要になるのは摘出率です。腫瘍を、脳との境界ぎりぎりまで摘出しようとすると、周囲の脳損傷が起きる可能性があります。術後の神経障害を生じさせない範囲で最大限の摘出を行うことが求められます。 ・術中電気生理モニタリング、マッピング・覚醒下手術・手術支援装置、手術器具の開発神経の障害の程度を術中に判断する技術と、より正確に安全に手術操作できる技術が、機能温存下での最大限の摘出を可能にし、治療成績を向上させます。信州大学病院では、この理念を実現するための術中MRIと、手術支援装置の作動状況を統合する次世代手術室(スマート治療室)が2018年から稼働しています。医学部卒業後、2年間の臨床研修プログラム終了後、脳神経外科を選択します。4年間の後期臨床研修プログラム終了後、脳神経外科専門医を取得します。その後自身のサブスペシャリティとして脳腫瘍を選択します。 主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像術中MRIを有する当院の次世代手術室「スマート治療室」覚醒下手術(脳機能温存を確認しながら腫瘍摘出を進める。患者さんはモニターを見ながら質問に答える。摘出の範囲はナビゲーションで確認する)

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る