信大医学部研究紹介2021(日本語)_プレス品質
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26肝移植周術期・長期経過の問題探求と膵島細胞移植の推進移植・小児 班(チーフ:講師 三田篤義) 外科学 消化器・移植・小児外科学分野・当科の肝移植の歴史は、1990年の本邦3例目の生体肝移植移植に端を発しており、以来300症例以上の肝移植を施行し、術後20年以上経過した症例を経験しています。移植後には肝移植後拒絶反応、感染症のみならず、妊娠・出産を経験されたり、癌を発病された方もおり、今もなお術後管理には解決すべき問題があります。・膵島移植については、2013年に日本膵・膵島移植研究会より膵島分離・移植施設として認定され、その後「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づいた第1種再生医療等として承認されて、膵島分離・移植実施体制を整えています。・周術期を含めた肝移植患者管理における諸問題の解決・ヒト膵島分離・移植の実施に向けたシミュレーション・膵島保護作用の研究肝移植領域においては、20年を超す長期生存患者を得ており、その経験をもとにさらに長期生存を目指すとともに、新規肝移植症例での問題解決に活かします。膵島移植領域においては、国内の他の認定施設とともに、本邦においては比較的新しい治療法である膵島移植療法の確立につとめます。移植治療に不可欠である免疫抑制療法、細胞保護などの知見を深め、移植患者の周術期管理、長期管理に精通し、移植外科医として移植医療を担います。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像    信州大学における累積生存率を示す    (最近7年間の39症例における粗生存率は95%であった)膵島移植に用いる膵島ドナー膵臓から分離・純化した膵島(赤く染色された細胞)をレシピエントの門脈に移植するひとりひとりの患者さんに最先端で最適な医療の提供をめざして心臓血管外科学分野心臓血管外科学分野(教授 瀬戸達一郎)(教授 瀬戸達一郎)外科学当科では、心臓疾患から大動脈疾患、静脈やリンパ管をも含めた末梢血管疾患に至るまで、体内の循環臓器全般を対象とした外科治療を行っています。特に重篤な全身合併症をお持ちの患者さん、超高齢者の患者さん、複合病変をお持ちの患者さんなどに対する集学的治療においては、大学病院という利点を活かし循環器内科をはじめとした各診療科との連携のもと、患者さんの長期予後まで配慮したより安全で確実な手術を目指して診療を行っています。・iPS細胞を用いた心筋再生・胸腹部大動脈手術における合併症の予防法の開発・組換えビフィズス菌を用いる疾患部選択的な新規虚血性疾患治療薬の開発研究・心臓移植後拒絶反応の病態解明と治療法の開発今日乗り越えられないため禁忌とされていたことが、ひとつのブレークスルー(壁を打ち破る事柄)により明日には適応となることがあります。臨床に役立つブレークスルー研究を行い世界に情報を発信することが我々の夢でもあります。当科では、優れた臨床医の育成を目標として、卒後臨床研修において、科全体で力を注いでいます。より多くの手術ができる専門医となり、世界に情報を発信できる医師を育てます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像心臓手術の様子患者さんの長期予後まで配慮したより安全で確実な手術を目指すiPS細胞を用いた心筋再生Shiba, et al. Nature 2016;  538: 388-391.より引用改変血管新生因子を発現・分泌する組換えビフィズス菌製剤を用いた新薬を創出・開発している

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