信大医学部研究紹介2021(日本語)_プレス品質
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25消化器癌治療と再生医療― 基礎から臨床へ ―肝胆膵 班(チーフ:講師 清水 明) 外科学 消化器・移植・小児外科学分野肝胆膵領域悪性疾患は手術による切除が治療の第一選択ですが、さらなる手術の安全性の向上や手術に伴う臓器機能低下の制御、術後補助療法として有効な新規治療法の開発など、取り組むべき課題はたくさんあります。外科学教室肝胆膵グループでは、再生医学技術の応用によって膵臓以外の臓器からインスリン産生細胞を再生する技術や肝再生を促す方法の確立、有効な化学療法治療法の少ない胆道癌に対する分子標的治療法の開発など、臨床医療への応用を目指して研究を進めています。・肝幹細胞を用いたインスリン産生細胞分化誘導による膵切除後内分泌機能不全治療ならびに1型糖尿病治療・胆道癌におけるAKT/mTORシグナル経路を介したsorafenib耐性機序・ALPPS手術モデルにおける肝再生促進因子の同定と肝細胞と類洞内皮細胞との相互作用・臓器移植や組織移植を行わなくとも臓器機能低下の改善が可能になるため、より積極的な手術療法が可能になったり、手術の安全性が向上したりします。・手術や抗腫瘍薬剤による治療効果が不十分な肝胆膵領域悪性疾患に対して、新たな治療選択肢を提供することで治療成績が向上します。大学に在籍、あるいは国内外の先進施設に留学して研究を推進する、肝胆膵外科領域のspecialistとしての手術手技や資格の獲得を目指す、市中病院で消化器外科専門医として活躍する、などいろいろな選択肢があります。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像3次元培養技術で作成した膵島様インスリン陽性細胞集塊 (in vitro)遺伝子導入により肝組織内に発現誘導したインスリン産生細胞 (in vivo)手術から遺伝子まで― 新たな癌治療への挑戦 ―消化管 班(チーフ:助教 宮川雄輔) 外科学 消化器・移植・小児外科学分野食道癌、胃癌、大腸癌治療を中心に診療を行っています。治療の基本は手術による切除であり、低侵襲性、根治性、安全性をさらに追求した質の高い手術、周術期管理の改善に日々取り組んでいます。一方、臨床に直結した基礎研究にも力を入れております。フローサイトメーターや最新の細胞イメージング機器Operettaを駆使し、大腸がんのドライバー遺伝子変異であるRASやBRAF遺伝子変異、スキルス胃癌のRhoA遺伝子変異を標的とした新たな治療の開発を目的として研究を進めています。・食道癌手手術の術中モニタリングによる反回神経損傷予防、再建腸管血流の定量化による縫合不全予防・大腸がん、胃がんの個別化治療に対応したin vitro assayの確立・スキルス胃癌における変異型RHOAの機能解析我々の研究手法はフローサイトメーターや細胞イメージング機器(Operetta)を用いるため、多数の遺伝子変異に対して、その機能解析や薬剤耐性を短時間で正確に評価可能である。それらの結果を解析し、大腸がんや胃がんの新たな治療法を開発したいと考えている。癌の幅広い基礎知識や最新の機器を用いた研究手法を学ぶことが出来るため、癌の研究や臨床に携わる仕事に就く場合は、本研究で得た知識・技術が非常に役に立つと考えている。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像遺伝子変異はがんの悪性度を高くするが、同時に治療標的になる可能性もありCantⅡ)を用いて、より客観性RAS遺伝子変異細胞左図 フローサイトメーター(BD FACS CantⅡ)を用いて、より客観性 の高い、安定した結果を得ることが可能右図 遺伝子変異がん細胞をフローサイトメーターで測定

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