信大医学部研究紹介2021(日本語)_プレス品質
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19脳を診る! 読む! 探る!神経難病の病態解明から在宅ケアまで神経難病 班神経難病 班(教授 関島良樹)(教授 関島良樹)内科学第三ひとりひとりの患者さんの脳の中で何が起きているのか知るために分子遺伝学的、生化学的、病理学的研究を行っています。また、在宅療養を行っている患者さんのサポートのため、病院間連携やロボットスーツ、コニュニケーションツールの開発を進めています。信州大学医学部附属病院内で訪問診療を行っている唯一の部門です。患者さんを丁寧に診療し、積み重ねていくことで病気の原因や病態を解明し、治療法の開発に結びつけていくことを目指しています。今は“治らない”とされている病気も今後“治せる”ようになるかもしれません。・筋萎縮性硬化症・脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の分子病態の解明・失調性歩行に対する臨床評価とロボットスーツによる歩行支援・コニュニケーションツールの開発・改良(視線入力・脳波モニター)・長野県の難病医療ネットワークの構築疾患の分子レベルでの病態解明は、分子修飾薬の開発につながります。ロボット技術の医療応用は、動けなくなっていく神経難病患者さんが自分の意思で自由に動いたり言葉を伝えたりすることを可能にします。あなた次第で、いかようにも道は開けます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像移動支援ロボティック・ウエアcurara®とそれを用いた実装実験(鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院、信州大学繊維学部・工学部との共同研究)神経病理学的検索コミュニケーション支援:視線入力装置(上)と脳波モニター(下)筋ジストロフィーをはじめとする難治性筋疾患の病態解明・治療法開発研究筋疾患 班筋疾患 班(チーフ:特任教授 中村昭則)(チーフ:特任教授 中村昭則)内科学第三筋疾患研究チームは筋ジストロフィーをはじめとした難治性の筋肉の病気について、その原因や病態の解明と新たな治療法の開発の研究に取り組んでいます。患者さんの骨格筋を採取する筋生検、筋タンパク質の解析を用いた筋ジストロフィーの診断や遺伝子解析を行っています。また、筋ジストロフィー患者さんの末梢血リンパ球から作成したiPS細胞を使った遺伝子治療(エクソン・スキップ)の開発、筋ジストロフィーモデルマウス(mdxマウス)を使った病気のメカニズムに関する研究などを行っています。ジストロフィンの欠損によって発症するデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では、病態に合わせた治療開発が進み、新しい治療薬を実際の患者さんに投与する治験も行われており、今後さらなる発展が期待される分野です。・筋ジストロフィー患者の診断・遺伝子解析、治療研究・DMD遺伝子エクソン45-55を欠失した筋ジストロフィーに関する研究・DMD患者由来iPS細胞を用いたエクソン・スキップ治療に関する研究・筋ジストロフィーモデル動物を用いたマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2、-9の作用に関する研究現在、筋ジストロフィーの多くは有効な治療法がない難治性の病気です。しかしながら、最近の遺伝学的知見の広がりや、モデル動物を用いた研究、iPS細胞技術を利用できるようになったことで、病気の原因や病態に関する解明と治療薬の開発が進んでいます。当研究室では、筋ジストロフィーの病気の原因(遺伝子変異)や病態機序に基づく先駆的な治療法を提案しその開発研究を行っており、世界から注目されています。より安全で効果的な筋ジストロフィー治療を世界に発信していきます。主な研究テーマ研究から広がる未来(I. Nonaka, in Muscle Pathology)デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝性筋疾患では最も頻度が高い発症:2~5歳で歩行障害出現症状:全身の骨格筋の進行性萎縮・筋力低下呼吸困難・心不全の進行正常骨格筋DMD骨格筋デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の臨床的特徴。筋生検による筋障害の所見と免疫染色によるジストロフィン欠損の確認(右下)DMD-iPSCsDMD-iPSC-CMsAO (-)123AO (+) 10 μM123筋ジストロフィーモデルマウス(mdx)(Jackson Lab.)筋ジストロフィーモデルマウスのMMP-2欠損による筋再生障害(左下)とMMP-9欠損による筋線維化の増悪(右下)立ち上がりの困難(登攀性起立)H&EジストロフィンDMD患者由来iPS細胞と心筋細胞(上)。遺伝子治療薬に投与よるジストロフィンの回復(下:  )DMD-iPSCsDMD-iPSC-CMsAO (-)123AO (+) 10 μM123

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