2021_信州大学環境報告書
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Shinshu University Environmental report卒業論文工学部 建築学科 中村 雄大 信州大学長野(工学)キャンパスにおけるベース電力の実態把握 信州大学長野(工学)キャンパスにおいて、一次エネルギー消費量に対する電力の割合が高いことが明らかとなっており、電力消費量の削減が求められる。既往研究では、人の活動に関係せず定常的に発生する消費電力(以下、ベース電力)が、当該キャンパスにおける電力消費量に対して半分以上を占めることが明らかとなった。本研究では、今後の省エネルギー計画を立案するうえで実用的な資料の作成を目的に、実測データに基づきベース電力の実態把握を行った。 2019年度は、キャンパス全体の年間電力消費量に対して、ベース電力量が約77%を占めた。 ベース電力が最大の実験施設Aを対象に、計画停電前後のベース電力の実態把握を行った。停電前は計画停電の事前告知に伴う不要な電力の停止、停電後は消し忘れ等の不要な電力の強制的な停止により消費電力が減少したと推測される。停電前、停電後までベース電力を通年で削減できる場合、それぞれ128.8MWh/年、220.8MWh/年の削減効果があると示唆された。 今年度の実態把握によって、実験室系のベース電力が大きいことが明らかとなった。しかし、ベース電力の詳細な内訳が把握できていないため、使用されている実験機器の調査、実測などが必要である。また、ベース電力に関する省エネルギー対策はほとんど実施されていない。今後は対策の検討、実施、効果の定量化を行い、効果が認められる対策を普及させることが重要である。■ 謝辞 本研究は信州大学工学部スマートキャンパス化WGの支援を得て実施した。中部電力ミライズ長野営業本部法人営業部、信州大学工学部総務グループ管理係 平井規夫氏、信州大学工学部技術部 梶田昌史氏、高沢渓吾氏、徳武怜氏には多大なるご協力を得た。この場を借りて感謝の意を表す。卒業論文図1 2019年度の電力消費量におけるベース電力の割合図2 実験施設Aの8月・停電前・停電後のベース電力20

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