Integrated Report 2021 Shinshu Universityこの度、令和3年10月1日付で信州大学長に就任いたしました。信州大学のさらなる発展のために自らを律し、粉骨砕身、一生懸命努力して参ります。さて、大学はこれまで高い教養と高度で専門的な知識を持った知識人、高度専門職人材の育成に心血を注ぎ、その過程において深く真理を探究し、新たな知見を積極的に発掘・創造してきました。そのような中で、「大学の知の活用」についても意識が高まり、平成18年(2006年)に教育基本法が改正され、教育や研究にとどまらず、それらの「成果を広く社会に提供」し「社会の発展に寄与」することも大学の重要な役割であると規定されました。教育や研究それ自体が長期的にみれば社会貢献といえますが、産学官連携等を通じた、より直接的な貢献も求められるようになり、大学の果たすべき第三の使命として「社会貢献」が追加されました。昨今のコロナ禍では、大学がその地域に存在し、そこで様々な「場」を提供する意義を改めて考えさせられ、大学が果たすべき役割について原点に立ちかえって考え直す端緒となりました。アフターコロナ社会においては、地方大学が地域の中で果たす「教育」「研究」「社会貢献」の役割はますます大きく重要になるでしょう。大学が中心となり、多様な学問分野、業界、世代、そして地域社会に分散している「人」や「知」を集約・結集すれば、そのシナジー効果によって、とてつもなく大きな新しい価値(破壊的イノベーション)を生み出すことが可能となります。別の言い方をすれば、大学には「知」の創造だけでなく、社会と深く連携して「人」や「知」から派生する新しい価値の共有・定着の役割を果たすことが期待されています。私は、その役割を果たすための大学の機能として、“学びの機能(Learning)”、“寄り添う機能(mutual Understanding)”、“つなぐ機能(Connecting)”、“知の拠点機能(Knowledge)”、そして、“産みだす機能(Yield)”の5つを挙げ、そのワードの頭文字を繋げて“LUCKY”と呼んでいます。信州大学は、総合大学としての強みをいかんなく発揮し、5つの機能をバランスよく担っていきたいと考えます。また、今後6年間の経営理念として『信大フィロソフィーinGEAR(インギア)』を合言葉に、信大ブランドを確たるものにしていきます。inGEARとは、“inGenious,Enterprising and Actionable Regional revitalization(独創的、進取的かつ能動的な地方創生)”を原型とした造語です。この理念のもと、地域社会と大学を連続的に一体化し、人材の繋がり(ステークホルダーエンゲージメント)を高め、さらには教員・職員・学生との関係がより身近になって、互いに高めあうことのできる環境創り(教職学協働)を力強く進めます。信州大学が、地域のイノベーションハブとしてこの地域の振興を本気で担う大学となるよう、これまでよりもギアを一段上げて大学経営に臨む所存です。本学が持続可能かつ社会に貢献する組織であり続けるためには、日々の教育研究活動を通じて、ステークホルダーの皆様と根気よく対話し、成果や価値観を共有し、一体感を醸成することが何より大切です。昨年に引き続き今年も、様々なステークホルダーの皆様から得られた収入が、中期目標・中期計画に基づいた教育・研究・社会貢献等の活動にどのように支出され、それによってどのように地域・社会に寄与できたかを発信するために、統合報告書を作成しました。この統合報告書を通じて、本学の心意気(フィロソフィー)と成果、財務状況等についてご理解を深めていただければ幸いです。変わらぬご支援、ご協力をお願いして、巻頭の挨拶と致します。02国立大学法人信州大学長2021年12月学長挨拶ギアを上げ信州大学のユニバーシティエンゲージメントを推し進めますShVIEWithIn
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