ビジョンと経営戦略活動実績ガバナンス人と地域の資産財務情報Integrated Report 2021 Shinshu University信州大学は、1998年に工学部環境機能工学科を設置以降、様々な環境教育を実践してきました。現在、本学の全ての学生は、共通教育科目の教養系「環境科学」から必ず1科目(2単位)以上を履修することになっています。また、「全学横断特別教育プログラム」では、2019年から「環境マインド実践人材養成コース」(2年間プログラム)を開講しており、産・官・民の環境セクションから実践者を迎えての講義や、環境関連施設の見学、農林業などの体験実習を通し、高年次では、フィールドを海外に移して日本の現状との比較をしながら、サスティナブルとは何かを掘り下げて学びます。2001年には、工学部のある長野(工学)キャンパスが国公立大学で初めてISO14001認証を取得、その後5つのキャンパスすべてが認証を受けました(2017年に認証を返上、独自の取組へ)。信州大学の環境マインド教育は、単に理念や理論の教育だけではなく、教職員と学生が協力してエコキャンパスを構築し、その継続的改善という実践行動を通じて、環境問題に対する解決能力の育成を目指しており、環境学生委員会の活動も活発です。さらには、環境に関する研究も全学的に数多く実施され、環境問題の解決に貢献できるよう努めています。長野県の諏訪湖における測定研究フィールドである千曲川※国土交通省千曲川河川事務所提供中央アルプスのハイマツにおける測定TOPICS平林教授は、河川中流域における資源量の推計とその利用、並びに、資源維持のメカニズムの解明と資源量増大に向けた河川管理手法の提案を行っています。「国土交通省 河川砂防技術研究開発公募地域課題分野河川生態」の予算を背景に、工学部、理学部、繊維学部、山岳科学研究拠点などに所属する教員と国立環境研究所、土木研究所などの研究員とで研究チームを作り、2015年から6年間、千曲川を研究フィールドに、国、県、漁協などとも協力して研究に取り組んできました。本研究成果で得られた「生産性管理基準」は、野外データをもとに開発したコンパートメントモデルを用いて、河川横断測量データから平水時の川幅と水深を求め、生物生産が可能な領域を抽出し、指標化したものです。本指標を用いれば、広い瀬、水際部及び生物生産力の状況をある程度把握でき、河川における生物活性の高い地点(ホットスポット)の推定なども可能で、全国の河川における河川管理への活用が大いに期待できます。なお、本研究成果は第三者評価委員会において最高ランクのa評価を受け、また2021年10月28日には、国土交通事務次官山田邦博氏より、河川管理の推進に多大な貢献をされたという理由で感謝状が授与されました。将来の気候変動を予測する上で、大気と地表面との間の温室効果ガスや水蒸気交換の制御要因を理解し、地球システムモデル中の交換過程を詳細化することが求められています。岩田准教授は大気と様々な地表面との間における温室効果ガス交換の研究に取り組んでおり、現在、高山帯生態系やアラスカ北方林、湖などで観測研究を進めています。特に、諏訪湖では長期的なメタン放出の研究を実施しており、気候変動や富栄養化がメタン放出に及ぼす影響について明らかにしようとしています。最近では、湖からのメタン放出を拡散やバブルによる放出経路ごとに評価する手法の開発や、その手法を用いた湖からのメタン放出の制御メカニズムの解明についての成果を発表しています。これらの活動により、気候変動予測の精度向上が期待できます。25環境教育を推進して20年余り、環境研究も加え全学を挙げて環境問題に取り組む指標に基づく河川管理手法の確立で河川生態系を保全する信州大学 学術研究院(繊維学系)教授 平林 公男温室効果ガスの交換メカニズムを解明し気候変動予測の精度向上へ信州大学 学術研究院(理学系)准教授 岩田 拓記活動実績環境への取組信州大学の環境への取組信州大学には環境マインドを持つ人材を育ててきた、環境教育の長い歴史があります。02
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