統合報告書2021
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ビジョンと経営戦略活動実績ガバナンス人と地域の資産財務情報Integrated Report 2021 Shinshu University信州大学医学部附属病院外観新病棟「包括先進医療棟」外観本院では、2018年4月より新病棟「包括先進医療棟(南病棟)」を稼働させました。本院の基本理念である「診療・教育・研究の遂行」「患者さんの人権を尊重した先進医療」そして「医療人の育成」を体現するとともに、より高度な医療をより多くの患者さんへ提供することを目指し、ハイブリッド手術室・スマート治療室などの最先端の手術設備を導入した手術室の設置、周産期医療の充実をはかるためのGCU(新生児治療回復室)増床、レディース病棟の新設、がん患者のための信州がんセンターの機能強化を行いました。長野県におけるがん診療の質向上に貢献し、がん医療の専門家を育成する信州がんセンター婦人科と乳腺内分泌外科の女性疾患の女性患者さんだけのレディース病棟脊椎手術、脳血管内治療、ステント内挿手術、TAVI手術などを行うハイブリッド手術室最新のMRI検査室皮膚がんは紫外線が発症に深く関わっており、高齢化社会の進行に伴い急速に増加しています。他のがんと同様に皮膚がんも早期であれば手術で治癒可能ですが、進行すると手術に加えて抗がん剤や放射線療法など集学的治療が必要です。皮膚がんを早期に正しく診断することの重要性は増しています。皮膚がんが疑われる場合、ダーモスコピーという拡大鏡が診察で広く用いられています。信州大学医学部附属病院皮膚科ではカシオ計算機株式会社と共同して、皮膚がんが疑われる病変のダーモスコピー画像を自動識別する人工知能(AI)プログラムを開発中です。このプロジェクトは2019年から5年計画で日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けています。現在までに国内30施設以上から数万枚以上の皮膚病変画像を収集し、AIの学習データとしました。本AIプログラムの識別性能は現在、皮膚科専門医と同等、あるいはそれ以上のレベルになっています。医療現場への導入を実現するため、医療機器承認申請に向けた臨床試験の準備も進めています。本プログラムが製品化されると、皮膚科専門医へのアクセスが困難な過疎地の診療所や在宅医療を含め広範な医療現場での活用が見込まれます。また、世界的にも同様の医療機器は乏しく、日本人と皮膚色が近い人々の暮らすアジアを始めとして、世界中をターゲットとしたグローバルな展開が今後期待されます。TOPICS23より高度な医療を、より多くの患者さんに届ける包括先進医療棟(南病棟)の稼働信州大学医学部附属病院皮膚科とカシオ計算機の医工連携イノベーション「AIによる皮膚がん診断支援システム」地域医療・先進医療活動実績02

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