(差替版)A4_総合人間科学系研究紹介_2021x4 (7)
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研究では、言語の意味を追求しています。現在のところ、日本語を英語に訳す時、助詞デをどういう前置詞を使って訳しているのか、訳すことができるのか、を研究しています。英語教育の現場と機械翻訳に貢献することをめざしています。教育行政では、個々の授業で目標を学生がクリアすることで、学生がその授業でねらった力と達成感を得る、という状況の実現をめざしています。信州大学の学生は、履修した授業と同じだけのいろんな力と成功体験をもって卒業していく「勝手に成長していく人」として社会に出る、そういう教育を本気でねらっています。日本の近代化を支え、国の仕組みを作り、社会を動かす人をつくる高等教育機関は、どのような機能を持っていたのかを研究しています。国を動かし、地域の中核となるリーダーを養成するために、国や地域、親たちはどのような学校を作ろうとしたか。どのような教育プログラムによって、学生は、国や地域を支える人材に生まれ変わるのか。信州大学でも、この研究の成果を踏まえ、様々な教育プログラムが設計されています。一年目の試練が四年間の大学生活を支える基礎となり、四年間の大学生活がこれからの皆さんの人生の基盤となるでしょう。デの研究の成果は、多くの人にとって「暗記科目」である英語を、「数学のように考える科目」に昇格させるような授業をすることに現実に結びついています。勉強のしかたを知っているかどうかは、実際に問われるのは、大学を卒業して働くようになってからです。「勝手に成長していく人」を輩出できれば、卒業生本人にとっても社会にとっても大きなインパクトがあるはずです。英語を暗記の対象ではなく考察の対象としていれば、英語を見るだけで「地アタマ磨き」になります。だから「アタマがいい人」を本気でねらえます。「勝手に成長していく人」は日常生活が「地アタマ磨き」です。戦前期においては、今以上に、高校・大学に行くというのは一大事でした(まず、中学校に進学する時点でハードルが高かったのです)。出身階層の違う人たちと出会い、自分をみつめ、一生の友を得、卒業後にいかに生きるかを決断する局面は、今の学生と変わりありません。歴史を学ぶことは現在を知ることであり、未来にも変わらぬ「普遍」「不易」を知る方法なのです。大学で学生は大人として扱われます。学生は自分で考えて生活し、学び、進路を選ぶのです。日々の活動すべてが未来につながる糧となることを意識して、大学生活を謳歌してほしいと思います。加藤 鉱三 教授南山大学英米学科卒業、名古屋大学大学院文学研究科博士前期課程修了。大阪外国語大学、信州大学人文学部を経て現職に。研究分野は言語学、英語教育、高等教育。加藤 善子 教授大阪大学人間科学部卒、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了(博士�人間科学)。専攻は教育学。アパラチアン州立大学助教授、関西国際大学講師などを経て、2009年信州大学に着任、現在に至る。202015年9月、長野県大学連携シンポジウム「スキルとしての『学び方』」を主催、「勝手に成長していく人」について論じた。「発信のための易しい英作文ゼミ」授業風景、2大学を結ぶ遠隔授業。英語を「暗記の対象」から「考察の対象」に変革するための授業。信大の前身�旧制松本高等学校(跡地)では、今も旧制高校の卒業生と研究者が集って研究交流会を開いています。私も大学院時代から通っていました。今はセミナーなどの企画にも関わっています。どうすれば学生は勉強するのか。世界共通の悩みです(笑)。アパラチアン州立大学で、学生を徹底的に鍛える教育法を修得。高等教育研究センター高等教育研究センター1英語を暗記科目から考える科目へ2勝手に成長していく人を育てる教育高等教育の社会的意義:歴史と現在

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