(差替版)A4_総合人間科学系研究紹介_2021x4 (7)
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英語を外国語として学ぶ(Learning English as a Foreign Language)私たちを対象とした、世界標準の英語運用能力試験(IELTS, TOEFL, Cambridge English(ケンブリッジ英検)等)では、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を測定します。その中で、主に「スピーキングテスト」について研究しています。モノローグのタスク(問題)に焦点を当て、その提示方法が、受験者(英語学習者)のパフォーマンスに与える影響を多角度から分析しています。さらに、受験者の出身国の教育システムや母語との比較、テスト中の認知プロセスとパフォーマンスとの関連も質的・量的に分析し、妥当性や信頼性について検証しています。1年次の英語科目と学術リテラシーの授業を担当しています。英語科目の授業では、自身の研究分野の知識を活かし、日本語と英語が左右対称の文構造関係を持っており、これまで学習してきた英語をより身近なものに感じてもらうようにしています。専門分野に関しては、統語論においては、主格・属格交替の現象に注目し、日本語とその他のアジア諸国の言語を比較することで日本語がどこから来たのかを探っています。第二言語習得においては、人間が2つ目の言語を習得するときにも、母語を習得するときと同じように普遍文法が機能しているのかを調査しています。そして英語教育の分野では、短時間で英語能力を測定できるテストの開発を行っています。日本の大学入試における英語4技能の評価の必要性については、今後も議論されていくことになると思われます。「スピーキングテスト」が導入されれば、高校・中学・小学校での英語教育もさらに変わっていくと考えられます。その中で、受験者(英語学習者)のスピーキング能力を「試験」という環境下で、最大限に引き出せるタスクをどのように設定すればよいか、検証しながら提案していくことが重要になります。素晴らしい環境の信州大学で、学問や課外活動を通して自己啓発に努めてください。学生時代に異文化に触れる機会が持てるといいですね。キャンパスでは留学生と交流することもできます。視野の広いグローバル人材の一員として世界に羽ばたき、活躍されるみなさんを応援しています。人間は、何語でも習得できる普遍文法を備えて生まれてきます。私たちは、日本語を使用する環境で成長したので、日本語を話しています。もし、英語を使用する環境に生まれていたのであれば、何の苦も無く英語を話していたわけです。そこで母国語である日本語の特徴を探りつつ、第二言語を習得するメカニズムを明らかにすることによって、日本の英語教育に対して貢献できると考えています。ある現象の表面的な部分だけでなく、その現象の深層部部分も理解することは、どの研究分野においても大切なことです。自分の持っている知識だけで判断するのではなく、あらゆる角度からものごとを考えて欲しいと考えています。大学生活の中で、同じ学部の友人だけではなく、他学部の学生や留学生、教員ともコミュニケーションをとり、自分とは違うものの考え方に触れ、広い視野で考えられる力を身につけ、自分の決めた道で活躍して欲しいと思っています。蓬莱 朋子 准教授東京学芸大学大学院�教育学研究科修了(英語教育専攻)。英国University of Essex 大学院にて学位取得(応用言語学、英語教育学)後、University of Surrey Roehampton Centre for Research in Testing, Evaluation, Curriculum (CRTEC)を経て現職。長谷部 めぐみ 助教岐阜大学にて、学部卒業�修士課程修了した後、横浜国立大学にてPh.Dの学位を取得。2020年に全学教育機構に着任。13CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)とIELTS�Cambridge Englishのスコア換算表世界標準の英語運用能力試験の一例アメリカのコーネル大学で開催された国際学会The Ninth Workshop on Altaic Formal Linguisticsに参加した時の写真日本語と英語の左右対称関係フランスのエクス�アン�プロヴァンスにてVivian Cook氏が開催するMulti-Competence Meetingに参加した時の写真CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を基に日本の英語学習者を対象としたレベル分けが構築されているCEFR-J英語教育部門英語教育部門世界標準の英語運用能力試験で、自分の英語力を測ってみよう!言語学(統語論)・応用言語学(第二言語習得・英語教育)

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