(差替版)A4_総合人間科学系研究紹介_2021x4 (7)
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18世紀の終わりから19世紀前半にかけて、文学、建築、造園、音楽、絵画・稀覯本や家具調度類の蒐集など、さまざまな芸術分野で才能を発揮した英国の文人ウィリアム・べックフォードの生涯と作品、および近代的存在方式としてのダンディズムの人間像と精神美学を対象に研究を行っています。また、これら主題に関連して、アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ作品を教材に用いたり、柴田錬三郎の眠狂四郎シリーズについて論考を発表したりもしています。 担当している科目は、英語のリスニングとリーディング、ライティング、コミュニケーション、文学及び異文化コミュニケーションなどです。外国人の先生や留学生と楽しく英語で話が出来る「英語サロン」も週に1回運営しています。「英語サロン」は英語の運用力を伸ばすのに、とてもよい方法です。他には英語力を伸ばす方法としては、たくさんの英語を読むことです。そのため、多読を通して英語力を向上させる方法も研究しています。なお、イタリアの中世文学(ダンテ)も研究の対象としています。精神の貴族と称することもできるダンディーの生きざまと精神像には、時代や風土を超えて受け継がれるべき人間的・倫理的価値が含まれています。同時に、節度と品位を重んじるダンディズムの様式感覚のうちに、表情や挙措動作といった人間の身体表現だけでなく、言語表現とも不可分に結びついた表現美学を見てとることができます。 教養を“人の心がわかること”と定義することができるとすれば、大学での学びは“人や環境、あるいは自然について、それらの心がわかる人材”を育てることにもつながっているといえるでしょう。 私たちが開発したオンラインによる英語の多読システムは、教師が学生に多読をしてもらう際の支援になります。多読をすることにより学んだ語彙は忘れにくくなり、日本人の学生が英語をより効果的に学習出来るようになります。外国語で読む喜びを見つけることが出来れば、卒業後も楽しみながら、そしてお金もあまりかけずに、その外国語の勉強を続けていくことが出来ます。山口 和彦 教授金沢大学法文学部文学科卒業、同大学院文学研究科修了後、信州大学教養部、同繊維学部を経て、現在、信州大学総合人間科学系全学教育機構に所属。ルジチカ・デイヴィッド准教授ケンブリッジ大学、現代�中世言語学部修了(文学博士)。1993年に信州大学に着任し現在に至る。11ベックフォードが造り上げた風景庭園とフォントヒル�アビィ(Reay Tannahill, Regency England (London:The Folio Society,1964)の Illustrations 12 Fonthill Abbey, Wiltshire より)C�ドイル『まだらの紐�赤髪連盟』(英光社、2015年)の表紙図書館にある多読用の本英語サロン 柴田錬三郎『眠狂四郎無頼控 (一)』(新潮文庫刊)の表紙学会で訪問したラヴェンナ英語教育部門英語教育部門ベックフォード、ダンディズム美学多読の英語教育への応用とイタリア文学研究

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