(差替版)A4_総合人間科学系研究紹介_2021x4 (7)
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“人と人の関係性の変化” です。専門種目である剣道の実践や指導、競技現場でのアスレティックトレーナー活動を通して、スポーツ傷害予防を中心に、現場で起こる課題を解決に導く研究活動を行っています。剣道は、老若男女が一緒に行うことができる、素晴らしい日本の伝統的な運動文化です。しかしながら、剣道に限らず多くの運動種目では、実施方法によっては痛みや怪我を引き起こすことがあります。私は、アキレス腱傷害を主としたスポーツ傷害の予防法の検討、筋や腱の硬さ情報を元にした新たなコンディション評価指標の開発、剣道と体力の関連性の検討といった研究を通して、健康的かつ合理的な運動の実施方法の構築と普及を目指しています。私たちは、多くの人やもの・ことに触れながら、互いに影響を与えながら生きています。その中から見える、『自分』や『他者』はどのような強みや魅力、役割のある『人』でしょうか。私の研究・教育実践のテーマは、出会いや、様々な思考・試行経験を通した、私の開講する、体育の授業(ターゲットスポーツやアウトドアスポーツ)や、とことん考える授業(インクルーシブ教育ゼミ)、小中学校での実施を進めている、障害のある子とない子が一緒に野外活動をすること(インクルーシブ野外教育)もその出会いの一つです。健康科学教育部門例えば、剣道の特徴的な傷害であるアキレス腱断裂を受傷した場合、一般的に競技復帰までには半年ほどかかると言われています。また、せっかくの楽しい運動も、動くたびに痛みが出たり、急激な痛みに襲われるかもしれないと不安を抱えながら行っては、その魅力も半減するでしょう。競技スポーツ現場における個人やチームのパフォーマンスの低下、生涯スポーツにおける痛みによる実施率の低下といった問題を防ぎ、運動の魅力を最大限に引き出すためにも、スポーツ傷害を予防することは重要です。どの分野においても、健康と体力は重要です。より良い運動の実施方法を身につけてもらいたいです。また、運動やスポーツを通して、色々な分野や文化の人と繋がりを持ち、自身の世界を広げて欲しいと願っています。いつもの環境から離れ、多様な人々が一緒に自然の中で学ぶ、インクルーシブ野外教育には、自分や他者を知るきっかけが多く含まれています。自然の中で見つけた新たな『個』の発見は、日常生活や社会生活での『個人』の尊重や関係性の再構築につながっていきます。この分野は、教育・医療・福祉・環境・心理・工学・繊維・経済など、様々な分野の人々に関連する懐の広い分野です。関わり・知り・気づき・学び・築くことを繰り返すことで、見えてくる世界があります。一つの分野や、安定した環境に収まるのではなく、多くの出会いから、新しい自分を見つけていってほしいと思います。廣野 準一 准教授筑波大学体育専門学群を卒業後、同大学院総合人間科学研究科にて学位取得(博士�スポーツ医学)。筑波大学体育系特任助教を経て、2013年信州大学に着任。日本体育協会公認アスレティックトレーナー。加藤 彩乃 講師筑波大学体育専門学群を卒業後、同大学院人間総合科学研究科にて博士前期課程修了(体育学)。東京都での特別支援学校勤務を経て、2013年に着任。専門はインクルーシブ野外教育�アダプテッドスポーツ。10オーストリア�ウィーンの学会会場にて学友会剣道部における剣道の実践と指導友だちみんなで上高地キャンプどのような話で盛り上がっているのだろうか。家族や仲間とそれぞれのスキー第16回世界剣道選手権大会で日本代表チームへトレーナー帯同健康科学教育部門剣道とアスレティックトレーナー:より良い運動の実施方法を目指して多様な人・もの・こととの関わりから学び築く。インクルーシブ教育実践

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