保健学科_研究紹介2021
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―7―「やめたいのにやめられない」生きにくさを探り、生きやすさへと応用する 何かはまっていることはありますか? それによって、人との約束を守れなくなったり、やらなくてはいけないことができなくなったりしていませんか? アディクション(嗜癖、いわゆる依存症)とは、本人・家族の生活をおびやかしているにも関わらず止めることのできない、不健康にのめりこんだ・はまった・とらわれた習慣です。つまり「やめたいのにやめられない」状態のことで、よく知られているものにアルコールや薬物、ギャンブルがあります。私は、予防的な視点から、これらの嗜癖行動を開始してからどのように問題が深刻になっていくのか、また、それには何が影響するのかを研究しています。札幌医科大学卒業。群馬大学大学院(保健学修士)、筑波大学大学院(ヒューマン・ケア科学博士)修了。看護師として勤務後、目白大学、首都大学東京を経て、2019年に着任。 アディクションは身近なところに1人はいても不思議ではない、ありふれた病気です。この問題を持つ方は多くの場合、地域で生活を送っていますが、医療現場では内科や外科や救急等でお会いすることも珍しくありません。実は、引退後のアスリートにもこのリスクがあるといわれています。何がリスクになり、問題となっていくのかがわかれば、アディクションや関連する問題の予防につなげることができるのです。 卒業後は医療機関や地域、企業等、活躍の場は多様です。たくさん考えながら働いているうちに、多くの疑問を持つかもしれません。そんな時には大学院に進学し、探究していきましょう。成人看護学研究から広がる未来卒業後の未来像新井 清美 教授看護学専攻成人・老年看護学領域問題のある飲酒をしている方の推計ギャンブルに問題を持つ方の推計ギャンブル障害を持つ本人と家族の認識のプロセス研修会や講習会の様子看護学専攻成人・老年看護学領域慢性的な病をもつ人が、その人らしい生活をおくるためのケア 健康障害をもつ成人期にある人(所謂おとな)を対象とした成人看護学を担当しています。救急医療および集中治療室、一般病棟における臨床・教育経験をもとに、これまで集中治療室における看護特性の研究や外来診療の場で提供される看護の研究をしてきました。 現在は、がん・COPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする、慢性的な病をもつ人の療養支援に関心があります。現代では生活習慣病と無縁ではいられません。一病息災、患者さんご自身が病と上手く付き合い生活の質を維持し、その人らしい生活を楽しむための在宅療養サポートが求められています。ICTを活用した、医療・介護・福祉が連携する在宅療養支援システムに関する研究にも取り組んでいます。長崎県立大学シーボルト校人間健康科学研究科修了(看護学修士)。2014年信州大学医学部保健学科看護学専攻に着任。北條 由美乃 助教 看護学は若い学問領域のひとつです。社会学や教育学、心理学、哲学など様々な学問分野の成果が看護研究・看護実践に活かされています。   看護学を入口として周辺学問にも関心を向け、その理論を看護研究に応用することでさらに看護実践の質が高められると思います。また、多様な専門職の方々と交流することを通して視野が広がります。 看護師の活躍の場は病院、地域、行政、企業など多岐にわたりますが、現場で経験を積み起業する人も多くなっています。専門職として現場で感じたやりがいを原動力に看護を探求し、自分らしい看護実践の場を開拓することができます。成人・老年看護学研究から広がる未来卒業後の未来像日帰りで薬物による治療を受ける患者さんに寄り添う。慢性的な病を持つ人が病院とつながっている「外来」における支援は奥が深い。外来看護実習では病棟実習とリンクする多くの学びがある。

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