保健学科_研究紹介2021
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―5―「いつでも、いつまでもその人らしく生きる」を支援したい 【近赤外分光法を用いた前頭葉代謝解析による高齢者の回想想起と想起刺激の効果に関する研究】昔のことを繰り返し懐かしく思い出す回想は、認知機能低下を防いだり気分が良くなるという効果があると言われています。そこで、回想が脳活動や自律神経の働き、心理面にどのような変化を起こすのか測定し、回想の効果を明らかにすることを目指しています。研究がうまく進めば、高齢になることによる脳の活動低下や気分が落ち込むのを防ぐ方法が分かるかもしれません。 その他【主観的健康感に関する研究】【椅座位が下肢に及ぼす影響】【看護師のコミュニケーション能力】などの研究を行っており、その人らしい生活を送るために、看護に何ができるのか考えています。 認知機能の低下や気分の改善に効果があると言われる「回想」の効果を、脳活動や自律神経機能、心理尺度などを用いて明らかにしようとしています。その成果を、高齢になっても誰もが『その人らしく』生活できるような支援につなげます。 療養生活を支援する「看護技術」の効果を客観的に評価し、看護ケアの質の向上や看護基礎教育における学生の看護技術習得につなげます。 療養生活を送る対象が「その人らしい生活」を送ることができるよう、質の高い看護ケアを提供できる看護職を目指します。ケアする人として、看護の知識や技術の向上だけでなく、人との関わりや態度、こころも磨きましょう。目指すところは「ケアリング」。基礎看護学研究から広がる未来卒業後の未来像近赤外分光法を用いた代謝解析による高齢者の回想想起と想起刺激の効果に関する研究:測定器材を装着中看護方法論Ⅰ:ベッドメーキング演習看護方法論Ⅲ:ヘルスアセスメント演習日本医科大学看護専門学校卒、同大学付属病院、長野県がん検診救急センター救急部勤務。東洋大学文学部教育学科卒、信州大学大学院人文学研究科修了、同医学系研究科在学中。小林 千世 准教授看護学専攻基礎看護学領域患者さんの抑うつを予防し、心の健康を維持・改善するための研究 私は以前、循環器病棟で看護師をしていました。その時に、心臓病が改善しても、退院後、一生食事や運動の制限などを守らなければならない患者さんにたくさん接してきました。病気になったという大きな不安に加え、ライフスタイルの変更を余儀なくされ、抑うつになってしまう患者さんが大勢います。そのような患者さんが、どのようにすれば抑うつにならずに心の健康を維持しながら生活が送れるのか、という問題に取り組んでいます。 また、看護師不足は患者さんへのケアの質を低下させる重要な問題です。そのため、新人看護師が同僚からどのような支援を受けると、離職率が減るか、といった研究もしています。看護師免許を取得後、虎の門病院で看護師として8年間勤務。山梨大学看護学修士課程終了。2014年信州大学看護学専攻の助教に着任。2020年信州大学大学院博士後期課程修了(保健学博士)。 心臓病患者さんの抑うつに対する看護介入に、十分なエビデンスが得られていない現状があります。特に、激しい胸痛を経験した心筋梗塞の患者さんの精神的健康の改善や死亡率減少のためにも、抑うつを呈した心筋梗塞患者さんの研究を行うことが急務です。疾患と共に生きていく方を少しでも元気に、笑顔で過ごしていただけるようにしていきたいです。 看護学は、精神面や身体面など、人を様々な角度から学ぶことができる学問です。さらに、病気を持つ患者さんはどのような状態であるのかを学び、自分にはなにができるのかといった、考える力を養うことができる学問です。基礎看護学研究から広がる未来卒業後の未来像演習で使用する物品の一部学会発表演習(基礎看護学領域)山口 大輔 助教看護学専攻基礎看護学領域

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