保健学科_研究紹介2021
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―29―ウサギの大腿骨内に埋め込んだカーボンナノチューブ複合アルミナセラミックスの組織像(1年半)骨内に有害反応なく納まっている。理学療法学専攻新規生体材料の開発・評価と骨軟部腫瘍の解析 整形外科では関節や骨の疾患に対して、人工関節や人工骨、骨固定材料を用いて治療を行います。治療のためにヒトの体に手術で埋め込む素材を生体材料と言います。さらに安全性、治療効果、耐久性に優れた生体材料を開発するため、工学部、繊維学部、医療機器メーカーなどと協力して作成した材料の生体安全性評価を行っています。 また、整形外科医として主に骨軟部腫瘍(「骨肉腫」(骨にできるがん)など)の治療にも従事しています。骨軟部腫瘍についてその治療成績、手術切除範囲、手術後のリハビリテーション・機能、腫瘍切除後の再建方法、骨軟部腫瘍のための「がん教育」についての臨床研究も行っています。信州大学医学部医学科卒業。同大学院医学系研究科博士課程修了。日本整形外科学会専門医。信州大学医学部附属病院リハビリテーション部より2015年に保健学科へ着任。青木 薫 准教授 人工関節手術や脊椎固定術などを行った患者が、年齢を重ねた際に生体材料の寿命が先に来てしまうと患者の活動性が低下したり、危険の高い入れ直しの手術が必要となります。高機能な新規生体材料の開発により、健康寿命の延長につながることが期待されます。 骨軟部腫瘍の治療においても、患者の命を救うことは当然として、その治療後の日常生活機能が維持できることを目指しています。 当専攻では卒業時に国家試験に合格すると理学療法士の資格を取得することができ、病院、診療所、施設などで働くことができます。卒業後、大学院に進学してさらに深い研究を行い、医療の発展に貢献していただきたいと思っています。応用理学療法学研究から広がる未来卒業後の未来像右肩の悪性軟部腫瘍の術後の患者さん。傷は良好に治っているが、腕の挙上制限が残っている。肉腫について、子供たちにも分かりやすいようにマンガを用いた肉腫を紹介するパンフレットを作成。カーボンナノチューブ複合人工関節のイメージ理学療法学専攻革新的生体材料の開発により世界の医療を信州から変える バイオテクノロジー、生体医工学を専門に、以下のテーマを研究し、日本発世界初の生体材料・医療機器開発を目指しています。 ナノカーボンの生体材料応用:未だ解明されていないナノカーボンの特異な生体反応を、独創的なアイデアと技術で解明・活用・制御し、革新的な生体材料を創製します。特に癌転移骨を制御する生体活性付加ナノカーボンの開発に力を入れています。 骨再生の足場材料:新しい機能を持ったチタンファイバープレートの足場材開発等により、再生医療の発展に貢献します。 新しい人工関節・脊椎固定インプラント開発:骨と同じ弾性率、高い骨親和性、生体内で長期にわたり壊れにくい生体材料開発を目指しています。1988年信州大学医学部医学科卒業、1996年博士(医学)取得。2014年から先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所所長を兼任している。齋藤 直人 教授 現在の課題を解決した新しい医薬品・医療機器を開発することにより、医療費削減、患者様の身体的負担の軽減に貢献することが出来ます。また多くの癌は骨転移の頻度が高く、骨に転移すると骨破壊により激しい痛みや生命予後が低下します。癌転移骨を制御する生体活性付加ナノカーボンの開発により、骨転移に苦しむ患者さんのQOLと生命予後を改善することが出来ます。 一緒に学び研究活動を行うことによって、課題設定力、実行力、理解力、課題解決力を持った世界で活躍できる人になることを目指します。卒業後は、大学研究者、教員、医療機器開発メーカー、医療機関で活躍できる人材を育成します。応用理学療法学研究から広がる未来卒業後の未来像抗癌剤とモノクローナル抗体を担持したカーボンナノホーン(CNH)骨再生の足場材になるチタンファイバープレート

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